年頭にあたり、本紙では小池百合子東京都知事にインタビューを行った。知事は多摩地域の発展に向けて策定された「多摩の振興プラン」についての現状を中心に、多摩エリアが持つ魅力やそのポテンシャルなどについて思いを語った。
――就任時、知事が掲げられた「新しい東京」創り。推進されるにあたって、昨年はどのような1年でしたか。
「はい。まず『新しい東京』に関してですが、これは東京大改革というタイトルのもとに『都民ファースト』『情報公開』『賢い支出』という3つのコンセプトからなっています。このコンセプトをベースに、『安全・安心なセーフシティ』『誰もが輝けるダイバーシティ』『金融や環境に優れるスマートシティ』という3つの目標、これを掲げて施策を進めているところです。昨年は、知事就任から2年。ちょうど折り返し地点となり、これらの進捗状況を確認しながら予算にも反映させ、加えて様々な条例などもつくりながら『新しい東京』創りを進めています。まさに中間点という位置づけでした」
――町田、八王子、多摩市を含む多摩エリアについてはどのような取り組みを。
「多摩地域については、地域の発展に向けた『多摩の振興プラン』をまとめました。私は歴代の知事の中でも、最も多摩地域に自ら足を延ばしている一人ではないかと自負をいたしております。多摩地域は緑が多く自然に恵まれていて、産業や大学、医療などの集積が見られるなど、区部にはない魅力にあふれています。また一方で、交通の充実や高齢化への備えが、今後特に大きな課題になってくるエリアでもあります。人口400万人を超えるこの多摩地域は静岡県の約374万人を上回る規模ですが、非常に大きな多摩エリアが、『新しい東京』創りにはとても重要な部分を占めていると言えます」
――振興に向けた具体的な進捗状況はいかがでしょうか。
「私が知事に就任して真っ先に取り組んだ施策の一つに待機児童対策があります。昨年4月1日の段階では待機児童が前年比で3千人を超えて減少し、10年ぶりに5千人台となりました。多摩地域全体では、前年度比861人減の2060人となり、このうち八王子市では51人減って56人に、多摩市では同数の83人に、町田市では83人減って146人に解消されています。引き続きこの点は、子育てもしやすい多摩、という環境をつくっていきたいと考えています。
もう一つ、多摩地域でぜひ推進していきたい取り組みに、サテライトオフィスの展開があります。これは、快適通勤につながる時差ビズとも関わります。通勤時間帯の満員状態が収まった時に通勤する、それまでは乗降駅に隣接されるサテライトオフィスで仕事をする。実際に多摩センターなどでスタートし始めていますが、そんな仕組みの広がりをつくりたいと考えています。時差ビズは鉄道会社に朝早い電車を増便していただくなど、すでに1千社近くが協力いただいております。快適な通勤環境で生産性を上げるという点で、サテライトオフィスも含め働き方改革にもつながっていく取り組みだと考えています。
以上はソフト面ですが、ハード面では、道路交通整備などがあります。町田市内では、多摩南北道路のひとつである府中所沢・鎌倉街道線について全線で事業に着手しています。多摩市内では南多摩尾根幹線の全線4車線化に向け取り組んでいます。また、八王子市内では、骨格幹線道路の北西部幹線道路の事業化に取り組んでいます。多摩の振興について、種をまき水をやり、だんだん芽が出てきて花が咲くという意味では、これからいろいろ結実し、花が咲きつつあると感じています」
――多摩地域の読者へメッセージをお願いします。
「400万を超える人口、緑豊かな自然、産業の集積、多摩地域は実にポテンシャルに満ちたエリアです。そのプラス要素を最大限引き出し、住民の方々が不便を感じていらっしゃるところには都民ファーストの視点でしっかり目を向けていく。子育て中の家族、高齢の方の暮らしなど、一人ひとりの生活に着目した施策を大切にして、しっかりと都政を進めていきたいと考えています」
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