パルテノン多摩歴史ミュージアムで7月15日(月・祝)まで開催されている特別展「刀鍛冶と文明開化 明治期・多摩の乞田鍛冶の渡米に見る海外技術導入」。初日となる4月20日、同展で紹介されている乞田鍛冶の兄弟・浜田吉之(文蔵)と正行(長吉)の子孫である宇井久美子さんや濱田秀隆さんらが見学に訪れ、一族が一堂に集まり対面を果たした。
同展は、幕末に新選組や農兵隊の武器をつくるなど活躍した貝取村出身の刀鍛冶「乞田鍛冶」、浜田吉之と正行の兄弟鍛冶を中心に、2人の歩んだそれぞれの人生や時代、鍛冶の技術を生かし、また海外技術をいかに受け入れていたかなどが、現存する資料を使って紹介されている。
その資料の多くを提供したのが、2人の子孫たち。明治に入って、乞田から町田へ移り、町田で「ひょうたん鍛冶」の名で野鍛冶として歩んだ吉之の子孫である宇井さんが自宅から出てきた古文書を解読しようと、パルテノン多摩に問い合わせたことがきっかけとなり、2008年に特別展「鍛冶屋のあゆんだ幕末明治」が開催された。
その展示を知ったのが、明治に入って渡米し、帰国後、神田に自転車店を開いた正行の子孫である濱田秀隆さんだった。秀隆さんは、先祖のことを調べている過程で、展示を知り、厚労省や国会図書館などで資料を探し集めていったという。
多摩市文化振興財団の学芸員の橋場万里子さんは「正行の動向のことはこれまでほとんど知られていなかった。子孫の方々が自ら調査され、様々な事実が判明して今回の展示につながった。敬意を表したい」と話す。
正行の子孫である濱田眞さんはこの日のために、京都から訪問。宇井さんらと初めて対面し、吉之、正行の子孫がこの展示をきっかけに一堂に集まった。宇井さんは「不思議な力、先祖が導いてくれたのだと思う」と喜んだ。秀隆さんは「調べていけばいくほど資料が出てきて楽しかった。これも先祖が名を残していたから。ただもっと早くに調べることができれば、亡くなった親族に直接話を聞くことができたのにと悔やまれる。こうして親族の縁をつないでくれて感謝している。でもまだ調査は終わっていないので、これからも調べていきたい」と意欲を見せている。
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