都営聖ヶ丘1丁目アパートの集会所前の公園にこのほど、防災用の「かまどベンチ」が2基設置された。「かまどベンチ」は普段、通常のベンチ同様腰を掛けて休むことができ、災害時には簡単に組み立ててかまどとして利用できるというもの。市内では、7カ所の公園に同様の「かまどベンチ」が設置されているが、都営住宅では珍しいという。
都営聖ヶ丘1丁目アパートは、1988年に完成。15棟から成り、280世帯約1200人が居住している。入居開始と同時に自治会が創設され、98年に自主防災組織が立ち上げられた。
同自主防災組織では、平日の夜にほぼ毎日、防災・防犯を兼ねた「見守りパトロール」を実施。近隣自治会との合同防災訓練や、初期消火、要援護者救護訓練、応急救護訓練等の普及活動など、日頃から防災にも力を入れて取り組んでおり、東日本大震災の計画停電時には集会所で炊き出しを行った。そうした経緯に加え、同団地の高齢化が進んでいることから、災害時の要援護者対策として「かまどベンチ」の必要性が検討されていた。
同自治会の田村清太郎会長は「桜ヶ丘公園に災害用トイレはあるが炊き出し設備はない。東日本大震災の時はガスが使えたが、いざという時に聖ヶ丘らや馬引沢など近隣の人たちが集まって使えるものがあると良いと思った」と設置の動機を語る。
多摩地域の公園も視察したが災害用トイレやベンチは行政等が管理しており、住民がすぐに利用できない所が多かった。そこで2年前に自治会で管理できる「かまどベンチ」を、東京都住宅供給公社に要望。それを受けて、東京都がこのほど設置した。
大鍋で300人分
今回、設置されたのは長さ約150cm・幅40cm・高さ74cmの「かまどベンチ」2基。普段は大人2〜3人が腰掛けることができ、非常時にはベンチに収納されているステンレス製の器具を組み立てると簡単にかまどとして使うことができる。かまどとして利用する場合、45リットルの大鍋が2つ設置でき、その大きさの大鍋2つで約300人分の汁物を作ることが可能。自治会の防災倉庫に薪や炭を備蓄しており、災害時にはそれらを使って、このかまどベンチを利用する。
市内では、同様の「かまどベンチ」が7カ所の公園に設置されているが、都営団地では珍しいという。田村会長は「日常的には、ベンチとしてしか使わないもの。使わないことの方が多いと思うし、使わないに越したことはない。ただ、いざという時のために訓練などで使えるようにしていきたい。近隣の自治会、自主防災組織の皆さんにもここにあることを周知していきたい」と話している。
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