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多摩 人物風土記

公開日:2021.04.15

一般企業を定年退職後、小説家に転身した
安藤 正紀さん(ペンネーム:安藤公章)
聖ヶ丘在住 74歳

「たまたま」筆業に没頭中

 ○…今年1月に最新作を刊行。2009年にデビューしてこれで3作目となった。いずれも本格派ミステリーで知人から聞いた話や自身の周辺で起こった事を題材としてきた。書き進めるうちに物語にのめり込んでいき、筆が止まらなくなるのは毎度のこと。「いくら書いても負担にならないんですよね。物語の完結を知りたいという思いの方が強いんです」

 ○…書き始めたのは「たまたま」と話す。製薬会社に勤務していた際、市内の医療機関に勤める知人に依頼され、内部向けの広報誌に代理執筆したことがきっかけとなった。作家を兼ねる医師の目にとまり、「センスがある」という評価。それまで小説を書いたことは無かったが、取り組んでみると思ったよりも筆が進んだ--。元々の話し上手。周囲を楽しませたいという思いが「言葉」を生んでいる。

 ○…定年退職後は、これまで関わっていなかった地域活動にも力を入れるように。5年前に知人の依頼を受け、多摩市のゴルフ連盟の設立に関わると、市の体育協会や社会福祉協議会への協力も求められ、今では子ども食堂の運営を見守ることも。その多忙ぶりに妻はあきれ顔だが、「頼られたら『断らない』が信条なんですよ」。そんな思いに周囲の信頼が集まる。

 ○…4作目に取りかかり始めた。今回舞台となるのは多摩ニュータウン。退去を考えるものの、「終の住み処」が見つからない高齢者らの葛藤を描きたいと考えている。社協の理事として得た情報を元にし、今回初めてドキュメントタッチの作品をイメージしている。「問題提起の思いもある。弱者を救いたいと考えちゃうんですよね」。そのフットワークは筆同様、まだまだ止まりそうにない。

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