多摩市は今月から、市内動植物の生態に関する情報を市民より募る。口コミを集め、多摩の傾向を分析しながら、市内の自然保全につなげていきたい考えだ。
気候変動に対応するため、昨年6月に発表した市の「気候非常事態宣言」の一環として取り組む。
活用するのは、生き物の情報を投稿できるサイト「いきものログ」。環境省が運営するこのサイトへ、市内で見つけた鳥や魚、昆虫、植物の名前や発見した場所、日時などを市民に写真画像と共に投稿してもらい、多摩に住む動植物の生態把握につなげる。
「いきものログ」に投稿されたデータは、専門家の意見などを参考にまとめ、季節ごとに「お便りレター」として市民に向け情報を発信していく予定という。
担当する市環境部の佐藤彰洋課長は「集まった情報は、いずれ市の自然保全に関する計画に反映していきたいと考えている。市民が気軽に参加できる、ということが今回の取り組みのテーマ。操作しやすいサイト。情報を提供してもらいたい」と話す。
現状は
市内に生息する動植物の生態は現在、どうなっているのか--。
昨年、市民らで構成される「多摩市ツバメ調査団」が発表した2016・17年にかけて行われたツバメに関する調査報告によると、30年前と比べ数は変わらないものの、営巣の場所が商店街の一角などから、マンションやアパート、防犯カメラの上などに「移動」していることが示された。
調査団のひとりは「人々が行き交い、自然が残っている多摩は、今でもツバメにとって住みやすい街と言えると思う」と話す一方で、「今後も現在の生態を守っていくには、自然環境について、行政や市民らが関心をもっていくことが大切と考える」と指摘している。