市制施行50周年を昨年11月1日に迎えた多摩、稲城両市。共に多摩ニュータウンの開発をきっかけに生まれ、ベッドタウンとして成長しつながりをみせる一方で、誕生から半世紀を経た今、それぞれの道を模索しつつある。
両市共に誕生のきっかけになったのが、ニュータウンの開発。多摩では1971年に諏訪、永山地区にできた団地への入居が始まったのを皮切りに多摩全域に広がるニュータウンに居を求め、都心や地方から、当時のファミリー層などが流入。街の人口は70年代からの20年間で5倍近く増えるなど、一気に街づくりが進んでいった。
一方、稲城の大きな人の流れはその後から。多摩同様、都心に近いベッドタウンとして街が形成されていき、多摩とは近隣市としてのつながりを深めてきた。多摩はニュータウンのある街。稲城は梨の産地といったイメージが広がる一方で、誕生から半世紀を迎え、両市はそれぞれ、新たな街づくりに向かって歩みを始めているようだ。
新たな結びつきも
多摩市は数年前から50周年の記念事業に向け、市民にアイデアを求めてきた。するとそれまで街に関心のなかった若い層なども企画に加わり、オリジナルビールや市民がパーソナリティを務めるラジオ番組の構想案などが挙がるように。機運の高まりはコロナ禍によって水を差されることになったものの、周年事業がスタートした昨年以降、オール多摩による結びつきが垣間見られるようになっている。
市民による企画事業を引っ張る、CMや映画制作を手がける演出家の瀧口寿彦さん(48)は「多摩をキャンバスに例えると未だ良い意味で真っ白な状態。市民活動も活発になっている。これからみんなで新たな色を加えていければ」とその可能性に期待をよせる。
稲城は観光地化?様々な施策 定住者増狙う
稲城は観光分野の強化に力を注ぐ。
ガンダムやヤッターマンなどのアニメに登場するロボットのデザインを担当するメカニックデザイナーの大河原邦男さん(74)が市内に在住していることから、大河原さんの作品をもとにしたモニュメントを街の広告塔とするようになって久しい。市内の駅前や観光情報発信施設などに設置し、アニメファンなどを呼び込んでいる。
また、「自転車のまち」としてのPRも積極的だ。自然豊かで適度な起伏のある幅広な道路が広がる土地柄。自転車愛好者らが集うようになったことから、「自転車のまち」を打ち出すようになり、愛好者のなかでは定着し始めているようだ。
市担当者は「稲城に観光に来て街のファンになってもらい、定住者を増やしていくのが目的。梨だけではないと知ってもらいたい」と話す。
合同で取り組みも
そんな両市は昨年から、多摩大学や京王観光株式会社らと共に、郊外住宅地へ観光客を呼び込むための取り組みを進めている。
コロナ禍における近場での旅スタイルとして定着、集客につなげたい考えで、大学生に両市内をまわる回遊プランなどを考えてもらい、企業が支援。実現を目指しているのだという。
多摩市の担当者は「稲城市さんと当市双方の課題を解決してくれるプランが生まれれば」としている。
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