高齢社会となり、医療や介護、生活支援などが一体的に提供される地域包括ケアシステムと呼ばれる仕組みが全国各地に浸透しつつあるなか、その先行モデルとなる高齢者医療の在り方を構築した人物が多摩市内にいる。多摩を拠点に医療や介護サービスを提供する河北医療財団の理事長相談役を務める天本宏さん(79)だ=写真。1980年に自身が初代院長となった天本病院を市内に開設して以来、当時の常識をよそに当初から訪問診療を開始。地域住民が年を重ねても住み慣れた街で暮らしていけるよう医療や介護を一体的に受けられる仕組みづくりに取り組んできた。
天本病院から派生し、生まれたクリニックや介護、リハビリ施設は現在、市内に20近く。高齢化が進む多摩市民を支えてきたが、天本さんは「高齢者のための医療は人里離れた場所で、という暗いイメージを変えたかった。当初は反発も受けたが取り組んできて良かった」と振り返る。
父親から影響
広島県で開業医の次男として生まれ育った天本さん。街の相談役のように地域の人たちから頼りにされる父親の姿が地域医療の発展に力を入れてきた背景にはある。
普段は無口なものの、ここぞという場面では頼りになる父親。精神科の分野を志したのも父親の勧めだったという。「ただ、物事を強制するような人ではなかった。好きなようにやれと言われてきました」と天本さんは父親を懐かしむ。
自身も
そんな天本さん自身も後期高齢者と呼ばれる年齢となって久しい。現在も同財団が運営するクリニックで物忘れ外来を担当するが、患者と接することが自身の老化予防につながっていると笑う。認知症予防には人と人との交流が有効と話し、「あと運動すること、よく食べることが大切なんですよ」と笑顔をみせる天本さん。
そして今も原動力となっているのが高齢者医療への思いだ。多摩で構築した地域包括ケアシステムを未だ不十分と話し、より充実させていきたいと力を込める。「地域の皆さんが生まれ育った街で安心して暮らし続けられるように寄り添っていければと思います」
天本さんの取り組みを多摩市議会議員時代から支援してきた東京都議会議員の小礒明さんは「人柄に惚れ込み協力してきた。多摩の多くの方が天本先生にお世話になってきたのではないか。その知見を広めていってもらいたい」と話している。
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