多摩市が2019年度から進めている自殺対策が一定の成果をあげているようだ。啓発の徹底や相談窓口の紹介のほか、自殺の危険を示すサインに気づき適切な対応を図ることができる人材育成などに23年度までの5カ年計画で取り組んでいる。
国の方針により、全ての自治体に自殺対策の策定が義務づけられたことを受け、スタート。市は15年の26人から、18人以下まで減少させることを26年までの目標の1つに掲げている。
相談機関の紹介や対策を周知する機会を増やす一方で、自殺の危険を示すサインに気づき適切な対応を図ることができるゲートキーパーと呼ばれる人材の育成などにもあたり、市内児童生徒への取り組みも実施してきた。
市内の自殺者数は18年の32人まで2年連続で増えていたが、5カ年計画が始まった19年に28人、翌年は18人と減少。昨年は前年に比べて21人と微増したものの、新型コロナの影響で全国的に自殺者の数が高止まりしているとされるなか、一定の成果をあげているとみることができる。
市担当者は「東京都が9月の自殺対策強化月間に実施している取り組みに合わせ、市内駅前で街頭キャンペーンなども行ってきた。周知が広がっていけば」と話す。
年齢層に変化
市内自殺者の年齢層には変化がみられる。5カ年計画の進行管理のために作成された市の資料によると、15年から18年までは40歳代以下の割合が高かったものの、19年を境に50歳代以上の中高年の割合が増えている。
コロナの感染が広がった影響で学校生活の時間が減り、子どもや若者のいじめが起こりづらい状況にあったことなどが影響している見方もできる。
国が16年から20年のデータをもとに示す多摩市で多い自殺者の傾向としては、「40から59歳の男性」で「職あり」、「家族と同居」とされた。
市内を拠点に電話相談窓口を開設している女性は「気が滅入るようであれば誰でもいいので話を聞いてもらうようにしてもらいたい。心が整理され、発散につながる。様々な相談窓口もある。活用してほしいと思う」と話している。
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