多摩センター駅に近い中央大学法学部(八王子市)が今春、新設される文京区のキャンパスへ移転する。5700人を超える学生の流出に地域からは悲鳴が聞かれる。
中大法学部は学内最多の5740人(昨年5月時点)の学生が所属する看板学部。4月に文京区へ移り、その後の多摩キャンパスは中大の中長期事業計画によると留学生の受け入れ先としての設備を強化し、グローバルキャンパスを目指していくとなっている。
中大法学部の移転が地域の企業や店舗に与える影響は少なくない。学生向けの賃貸住宅を扱う同駅近くの不動産会社の1つは管理物件のうち、中大生が占める割合は高いといい、その影響が出始めているという。「仕方がないことだが、厳しいとしか言いようがない」と同社社長。今後は賃貸以外の事業にも力を入れていく方針を立てていると話す。
また、中大生が数多く通うという八王子堀之内にある飲食店の店主は「法学部の学生は長期の休みの時でも田舎に帰省せずに大学で勉強し続ける子が多い。季節に関係なく来店してくれるのはありがたかっただけに影響は大きい」と肩を落とす。
全国的に見ても近年、キャンパスを都心に移す大学が増えているようだ。京都府を拠点とする立命館大学は現在、一部学部を2024年に滋賀県草津市から大阪府のキャンパスへ移転させることを発表しているが、滋賀県や草津市は街への影響を考え、要望書を大学に提出した。「地元不動産会社などへの影響は避けられない。地域経済にマイナスに働くと考えている」と同市の担当者は話す。
「定着」課題
一方、多くの大学を抱える多摩地域の自治体にとって、学生らに卒業後も街に住み続けてもらえるようにするのは以前からの共通の課題でもある。
多摩市を若者・子育て世代にとって魅力的な街にすることを目的に活動する団体「多摩市若者会議」の高野義裕さんは「住み続けてもらうには街に魅力的な職場をつくることや、学生たちが地域とつながる機会を生むことが大切と考える。地域イベントに参加する学生は増えているが、より地域とつながることのメリットを示していく必要があるのでは」とする。
そして最近、若者会議としての取材を通じて知り合った若者が多摩に住むようになった事例を挙げ、「リモートワークで仕事がこなせる環境にある若者。私たち団体に加入し、活動を始めたことも多摩に住むきっかけになったと思う」と話している。
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