町田市内で28・29日、公演を行う劇団を運営する会社社長を務める 有馬 理恵さん 町田市在住 50歳
「気を失うほど」きっかけに
○…演者から、日本を代表する劇団の1つ、劇団俳優座を運営する会社社長に就いて3年。150人を超える劇団員らを率いる傍らで地元での公演が決まり、頬を緩ませる。披露するのは教育現場を舞台に思春期の子どもたちと社会の歪みを描いたオリジナル作品。「人とは、社会とはについて考えさせてくれるもの。さまざまな世代に刺さるはず」と胸を張る。
○…和歌山県出身。父親の影響を受け、幼い頃から演劇に触れてきた。なかでも、戦争の不条理や民族、女性などへの差別を描いた作品に高校時代に出会ったことが演劇人として目覚めるきっかけに。気を失うほどの衝撃――。「誇りをもって生きる勇気をもらった」と振り返る。プロとして舞台に立つようになってからはその作品をおよそ20年にわたり演じ続けた。「どうすれば、さまざまな問題を解決できるのか。表現してきた」
○…劇団の社長として、舞台の作り手と観客のかけ橋になりたいという思いは高まっている。人を魅了する舞台づくりには「観客の目」が必要と一人の観覧者としてさまざまな演劇に触れてきた。作り手の思い、観客の受け取り方。「誤差」がないようにしていくのが役割と考える。「地元では地域の皆さんと演劇を鑑賞している。大切な時です」と微笑みながら優しく語った。
○…新しい演劇シーンを生み出してきた俳優座も、来年で設立80年となる。近年はコロナ禍で公演が中止になるなど、苦しい時間を過ごしてきたが、ようやくこれまで通りの公演を開けるようになってきた今、節目を盛り上げる機運が高まっている。掲げるテーマは「伝統と革新の共生」。積み上げてきた伝統を大切に、新しいことへの挑戦。先頭に立ち、導いていく覚悟は十分だ。