第58回NHK障害福祉賞で作品「生きる選択」が最優秀に選ばれた 野上 奈津さん 永山在住 61歳
力強く生きることを決意
○…筋ジストロフィーなど3つの難病がありながら、新型コロナに感染してからの闘病生活を綴った作品がNHK障害福祉賞で最高の賞に選ばれた。11月に最優秀の知らせが入ると「最初はどうしてだろうと思った。今でも評価が分からない」と戸惑ったというが次第にうれしさがこみ上げてきた。「耳から聞いて理解するのに時間がかかった。人間って本当にポカーンとするんですね」と驚きを隠せない。
○…同賞への最初の応募は2007年。夫と結婚したばかりで、夫との出会いなどを執筆し応募すると佳作に選ばれた。NHKのドキュメント番組に出演するなど楽しい日々を送った。年が経つにつれ運動機能が衰えていく中、コロナに感染。入院のすすめもあったが筋力低下を恐れ、拒んでいるうちに自宅で転倒し入院生活を余儀なくされた。闘病の末退院。「元気になって帰ってこられた。神様が助けてくれたのならお礼が言いたい」
○…芝居が好きで勉強しようと文化学院に進学。小さな劇団に入り、30歳まで舞台に立っていたという。「急に足の動きが悪くなって」と劇団を去った。夫と出会った後は「旅行が好きでタヒチやモルディブなどのリゾート地にでかけたの」と振り返る。夫が運転する車で出かけるのが今の楽しみだ。「市内には緑が多くて、日光よりも紅葉がきれいですよね」
○…この秋には4年ぶりにNHKの障害者情報バラエティー「バリバラ」に出演して漫才を披露した。「友人と大阪まで行ったけど観光する時間は無かったの」と苦笑するが精力的に活動している。「病に対してあいまいな回答しかできなかった。でも今は『生きる』ということを明確に伝えられる」。一所懸命に「生きる選択」を決意したようだ。