第58回「NHK障害福祉賞」の入選作品が11月16日に公表され、永山在住の野上奈津さん=人物風土記で紹介=の作品「生きる選択」が最優秀に選ばれた。野上さんは2007年に佳作に選ばれてから2度目の入選。今月8日には表彰式が行われた。
NHK障害福祉賞は1961年、肢体不自由児・者に比べて実態が知られていなかった知的障害児・者に光をあてるため「精神薄弱者(児)福祉実践記録」を創設したのが始まり。障害者自身の体験記録、障害児・者の教育や福祉の分野での優れた実践記録などに対して贈られる。
野上さんの作品は、筋ジストロフィーなど3つの難病がありながら、主治医に延命措置や気管切開への意思を聞かれて戸惑う姿や家族や医者、介護者などとのやり取りを描いている。また、昨年末に新型コロナに罹患して命の危機に瀕すると、先延ばしにしていた人工呼吸器を試すなど生きるための選択と向き合っていく姿を綴っている。
応募作506編の中から最高となる最優秀を受賞した。野上さんは「こんな大きな賞をもらったのは初めて。とてもうれしかった」と話す。
野上さんは気管切開することで声が出なくなってしまうことや入院することで寝たきりになってしまうこと不安に思っていたが、コロナで入院した後に無事に退院できたことから、医療に対する考え、専門家からのアドバイスを受け止めること、何よりも自分で「生きる選択」を決めることを決意したという。
野上さんは2007年にも応募しており、作品「ゆっくり歩く-進行性筋ジストロフィーと紫斑病-」で佳作に選ばれている。難病を伝えられてからも、芝居などに没頭して懸命に青春時代を過ごす自身の姿や死を考えたときの恐怖、そして今も支えてくれる夫との出会いも描いている。
情報交換の場設立
受賞を機にNHKの「ハートネットTV」に取り上げられた。その後、「ハートをつなごう」という番組に出演し、同じ筋ジストロフィーの西岡奈緒子さんと出会い、筋力の病をかかえた女性たちの情報交換の場となっている「com-pass女性筋疾患患者の会」を一緒に設立した。
現在、約200人が参加している。野上さんは「不安に思っている女性は多い。私の経験を伝えることができたら」と話した。
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