多摩市立小中学校で取り組むESD(持続可能な開発のための教育)を視察するため5月30日、台湾教育者約30人が市内の小中学校を訪問した。ESD授業の見学のほか、児童生徒らとの交流も行われた。
台湾では「永続教育」
多摩市は2009年度から「2050年の大人づくり」をスローガンにESDを推進。身近にある環境や地域をステージにして、持続可能な社会づくりの担い手として必要な価値観と実践力を学校や家庭、地域と連携して取り組んでいる。市内の全小中学校26校がESDの推進拠点であるユネスコスクールに加盟し、各学校の地域や特性を生かしながら、SDGs(持続可能な開発目標)を踏まえたESDを実践している。
台湾では「永続教育」という名称で、ESDを推進している。今回は自国でさらにESDを推進するために、日本において先進的に進めてきた多摩市のESDを視察することなどを目的に、台湾の教員や校長ら教育関係者約30人が来日した。
連光寺小・和田中に
午前中には連光寺小学校を訪問。同校では谷戸にある水田で、貴重な動植物や豊かな生態系の保全に地域ボランティアとともに取り組んでいる様子を見学した。その後、学校に戻りICTを活用した総合的な学習の時間での授業時間や給食の様子を視察していた。
午後には和田中学校を訪れ、多摩市ESDコンソーシアム連絡会(ESD推進に協力する団体、地域関係者)に所属する株式会社キュアグループによる循環型社会をめざした取り組みなどについての出前授業なども見学していった。
台湾の教育者は、学校での取り組みが組織的に行われていることに対して驚き、地域コーディネーターによる学習支援などについての質問などがあった。「台湾の地方部でも田んぼの学習をしているところはあるが、多摩市ほど地域の方々の支援はない」と話していた。また、「小学校ではのびのび学習し、中学校ではより実践的な授業をしている」との感想も聞かれた。
地震被害に寄付
和田中学校では同校の生徒会は台湾地震への募金活動を行っており、この機会に募金を手渡した。同校の生徒は「7日間、朝早く登校して募金活動を頑張った。台湾の校長先生が喜んでくださり、ほかの方々も笑顔になっていたので、うれしく思いました」と喜んでいた。
台湾地震で最も被害が大きかったという花蓮県にある学校の校長が募金を受け取り「中学生が募金を渡してくれて本当にうれしかった」と感謝の気持ちを表した。
多摩市教育委員会の千葉正法教育長は「台湾の方々は熱心に見学をしており参考になったのでは。児童や生徒とは英語でコミュニケーションをとっており、気さくに話していたのが印象的だった」と振り返った。
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