安心な団地めざす
10棟からなる鶴牧3丁目の団地「グリーンメゾン鶴牧3」では、高齢者の孤立、孤独死を防ごうと3年ほど前からLINEを使用した見守り活動を展開している。理事会の特別委員会である高齢化対応委員会の吉岡賢さん(89)と河南(かんなん)政晴さん(69)に話を聞いた。
進む高齢化
多摩センター駅近くの場所に完成してから45年ほどが経つ。2002年に当時の理事会が居住状況調査を行った結果、65歳以上の住民割合は都や国の平均よりも高く、高齢化が進んでいることから翌年に高齢化対応委員会を発足させ、誰もが安心して暮らせる団地をめざして活動を開始した。
発足から携わる河南さんは「仕事が忙しかった時は近隣住民のことなど気にすることは無かったが、退職した時に誰も知らないと困ると感じた」と振り返り、お茶の会やコーラス、絵手紙など「環(わ)の会」と名付けたサークル活動を開始。ハイキングや花見、秋祭りなど楽しく交流する場を設けてきた。
「OK」をタップ
現在、同団地の居住者は4人に1人が75歳以上になった。吉岡さんはNPO法人エンリッチ(江戸川区)が開発した安否確認用の「LINE見守りサービス」を導入することを提案した。
住民同士のLINEグループに同サービスを導入しお互いが見守るもので、3日に1回、「安否確認」の連絡が届く。参加している住民は「OK」をタップするだけ。23時間以内に応答が無いと委員が訪問や連絡するなど安否を確認している。吉岡さんは「民間の見守りサービスは料金が高いが、このサービスは安価で済む。安心の可視化ですよね。知り合いとつながっているようで安心感が増す」と話す。
吉岡さんによると災害発生時用に防災連絡網を作ってはいるが、特殊詐欺の増加などにより固定電話の利用を警戒する住人も多く、LINEの方が便利だという。「当初は押し忘れる人も多かったが、安心して使えるツールになっている」と吉岡さん。約600人が住む同団地で、現在36人が利用している。
猛暑に備えて
河南さんはスマホの利用が苦手な人に使い方を教えることもして、参加を呼びかけている。LINEだけのつながりだけではなく、集会所でリアルに集まる「顔合わせの会(OKの会)」も定期的に開いている。河南さんは「猛暑になっている夏は危険で、安否確認は重要」と話し、居住者同士で見守る活動の重要性をうったえている。
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