市内中学の不登校生徒が通うチャレンジクラス(不登校対応校内分教室)「あたごSpace」が今年4月に東愛宕中学校内に新設され、11月現在で17人の生徒が通っている。同校の竹田和彦校長は「教室を作った教育委員会や教員、生徒らの協力もあり、昨年度と比べ、おおむね出席率が上がっている」と話し、成果が出ていると実感している。
都の新施策
チャレンジクラスは今年度から始まった東京都の不登校対策施策で、不登校の生徒が安心して学校生活を送ることができるような、ゆとりを持った時間割を実現し、実態に応じた支援を行うというもの。多摩市はこの事業を導入し、教室は東愛宕中学校に設置した。
通常学級の時間割では1日6時間が基本だが、あたごSpaceでは1日4時間のゆとりある時間割で、東愛宕中の年間指導計画に基づいて学習を進める。
また、美術や音楽などの体験活動を充実させ、ICTを活用したオンラインでの授業参加も可能となっている。生徒や保護者とは定期的な面談を行い、生徒の学びを支援している。
出席率が向上
現在通うほとんどの生徒が、昨年度の出席率は0%から60%を下回っていたが、10月現在で、17人中12人が60%を超えている。また、小学4年から不登校だった出席率0%の生徒が、今年度出席率95・7%になっているなど成果が出ている。
ここまで良い傾向で運営できている背景に、竹田校長は教員による手厚い指導と教室のレイアウトを挙げる。竹田校長は「レイアウトを考える際に『学校らしくない学校、教室らしくない教室』をキーワードにした」と話し、「スヌーズレン教育」というオランダの施設が起源となる教室を作ったことが大きな効果を発揮したと見ている。教室内に人形やボールプールなどを置くことで、教員と生徒が共感し合い心地よさなどをもたらすようにした。
体験授業で笑顔
あたごSpaceでは11月15日、総合的な学習の時間で勤労感謝の日に向けた体験授業として、生徒がドライフラワー作りに挑戦した。講師にフラワーライフスタイルプロデューサーの畑野ひろ子さんを迎え、生徒らはドライフラワーを制作した。そして勤労感謝の日に感謝のメッセージをそえて家族にプレゼントするという。
生徒は、教員や支援員、保護者などに協力してもらいながら笑顔で作っていた。作品が完成した生徒は「上手く作ることができた。このような授業は楽しい」と話していた。竹田校長は「生徒が笑顔で活動できるのは、通常学級の生徒のおかげでもある。教室作りに協力してくれたり、理解があることで居心地が良いのでは」と話した。
一方で、不登校生徒の登校率が上がっているのは教員の手厚い指導があってのものだが、今後入級希望者が増えてきた場合に細やかな対応ができるかが課題だという。
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