多摩商工会議所(伊野弘明会頭)は1月8日、新年賀詞交歓会を京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター・アウラホールで行った。当日は市に関係する政財界人や会員企業、会議所関係者らが訪れた。あいさつに登壇した人の中からは、インフルエンザの流行を心配する声なども聞かれたが、地域経済発展のために、参加者同士が新春を祝った。
冒頭、多摩市を中心に活動する和太鼓せいせき鼓桜(栗原尚恒代表)のメンバーが舞台に立ち、大小さまざまな和太鼓を力強くたたき、会場をわかせると大きな拍手が送られた。
その後、あいさつに立った伊野会頭は、昨年7月に新札が発行された話題にふれ、「新一万円札の肖像になった日本資本主義の父と言われている渋沢栄一翁は、1878年、明治11年に東京商工会議所を開設し初代会頭を務められました。実業家の渋沢翁は名著『論語と算盤』のなかで技術の追究をめざす経済は社会のためになる道徳に基づくことが重要であり、そうでないと長続きはしないと申しています。
また、武士には武士道が必要であったように商工業者にも商業道徳が無いと真の豊かさは実現不可能であると、そして商業道徳の要は信用である、信用こそが全てのものであり、わずか一つの信用もその力はすべてに匹敵すると訴えています。
お金について渋沢翁は、お金は社会の力を表すための大切な道具である。大切にすることはもちろん正しいことだが必要な場合にはうまく使っていくもの。それに劣らず良いことなのがよく集めてよく使う。社会を活発にして経済活動の成長を促すことを心ある人はぜひとも心掛けてほしいと説いています。渋沢翁の説いた経済哲学は現代に生きる我々にとって重要な示唆を与えております」と渋沢栄一の言葉を引用しながら、経済の大切さを話した。
成長型経済の維持を
また、日本経済が変化していることを挙げ「我が国の経済は30年続いたコストカット型のデフレ経済から脱却し、成長型経済への局面にあります。政府はこの成長型経済を持続型なものにするために、DXなどの社会課題分野への国内投資や積極的な産業政策に取り組んでおります。昨年は高水準の賃上げ率、100兆円強の国内投資、史上最高値の株価、名目GDPも初めて600兆円の大台に乗るなど新たなステージに移行しております。
この成長型経済を継続して成長するためには、地域経済を支えている中小企業の力が求められています。中小企業にも賃上げの動きが広がっておりますが、その約6割は防衛的な賃上げにとどまっている。持続的な賃上げにはその原資の安定的な確保が不可欠です。そのためには価格転嫁、デジタル化による生産性向上、販路開拓、人材育成、新分野への進出など新たな付加価値を創造することが重要です」と述べた。
雇用の創出を
さらに、伊野会頭は地域企業の役割について「急速な少子高齢化のなか、シニア世代、女性、高齢者などの雇用も求められています。地域の雇用、消費、経済を担う中小企業が元気になれば地域や我が国の経済も元気になります。多摩商工会議所は本年も支援体制を強化し、中小企業、小規模事業者の生産性向上のために支援してまいります。そして従業員の健康管理を経営課題としてとらえ、健康維持増進の企業の生産性向上をめざしていく健康経営の啓発に注力していきたいと思います」などと話し、会員企業の繁栄を願った。
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