「なんとかシード権を確保することができました」――。1月2・3日に行われた箱根駅伝(第92回東京箱根間往復大学駅伝競走)で10位となり2年ぶりに、シード権を獲得した帝京大学駅伝競走部(八王子市大塚)。出走した10人が全員区間10位前後(20大学中)で走るなど、粘り強くたすきをつないだ。「7人が初出場で心配な面もあったが、みんなしっかりと走ってくれた。成長を感じられてうれしかった」と同部中野孝行監督(52・国士舘大学卒)=写真=は話す。
「諦めない」大切さ伝える
同部が箱根駅伝出場を逃した2005年の予選会後に就任した中野監督。低迷していた部を立て直し、08年から先日の大会まで8年連続して同部を箱根駅伝へと導いた。「厳しい強化練習を行っている」――と思われがちだが、同監督が指導で重視するのは人間教育だ。箱根駅伝で勝つことを目標として、「そのために何をすべきか」「チームにどのように貢献するのか」などを選手一人ひとりに考え、行動させることで選手の心の成長を促している。「社会に出てから活躍できる人材を育てたいんです。だから、自分の役割をチーム内で見つけて果たすことの大切さを選手に伝えています。それが裏方の仕事でも良いんです。だって社会に出れば、裏で支えている人の方が多いでしょ」と中野監督は信念を語る。
選手に最も伝えたいのが「諦めない」ことの大切さ。それは、高校時代、5千m競技で全国の百傑にも入らない長距離選手だった自分が、地道に練習を重ねた結果、大学4年時に1万m競技で全国10位以内の記録をもつようになった経験が根底にある。「私は現役引退後に就いた実業団のコーチを会社の倒産や部の廃部によって、辞めざるをえなかったことが2回あるんです。でも、陸上競技と関わり続けたいとあきらめなかった。そしたら道が開けていったんです」
先日の箱根駅伝で同部主将を務めた高橋裕太さんは「細かいことに気を配ってくれる監督。雰囲気の良い環境をつくってくれた」と話している。
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