衆議院議員選挙区画定審議会(区割り審)はこのほど、衆議院小選挙区の区割りについて新たな改定案を安倍晋三首相に勧告した。その中で、多摩市は一部地域が現行の23区(多摩市・町田市)から21区に編入される分割案が示され、阿部裕行多摩市長、多摩市議会は「基礎的自治体とその住民を軽視」と再考を求める声を挙げている。
今回の区割り見直しは、一人の議員が当選するために必要な得票数が選挙区によって異なり、有権者の一票の価値に格差が生じる「一票の格差」を是正することがねらい。
多摩市は、これまで町田市とともに市域全体が23区として区割りされていた。一方で、今回の改正案では、関戸、連光寺、東寺方、一ノ宮、聖ヶ丘の一部地域(表参照)が21区に編入され、残りの地域は23区のままとなる分割案が示された。21区は、立川市、昭島市、日野市の3市で構成されていたが、今回の改正案では、八王子市の一部、立川市、日野市、国立市、多摩市の一部、稲城市の一部で構成されることになる。
多摩市は、昨年末に総務省から地区ごとの人口や市役所の支所の配置等についてのヒアリングを受け、事実確認を行ったところ「分割される案が検討されている」と判断。阿部市長は3月に、同じく分割案が検討されていた稲城市の高橋勝浩市長とともに見直しを求める声明を出していた。
今回の改定案の勧告で具体的に分割が示されたことを受けて、阿部市長は「市町村合併も経験していない規模も小さな本市を分割する区割り案が勧告されたことに、強い憤りを感じている」と遺憾の意を示し、「他の選挙区に組み入れられた地域を見ても、住民の生活圏や自治会等の地域コミュニティを無視したものとなっており、単なる『数合わせ』としか思えない。住民を軽視したものと言わざるを得ず、基礎的自治体として、引き続きあらゆる手立てを講じ、見直しを求めていきたい」と話している。
また多摩市議会も4月24日に首相、衆・参議員議長、総務大臣あてに「区割り改定における市の区域の分割について再考を求める意見書」を提出した。
地元23区選出の小倉將信衆議院議員は「1票の格差是正と定数削減の両立の難しさの中で、勧告されました。審議会で十分に議論を重ねた上で出た結論であり私が是非を述べる立場にはありませんが、法案が成立すれば私の選挙区でも多摩市の一部で変更される地域があり、分割される多摩市の方々を考えると大変残念な気持ちです」と話している。
なお、この改定案は今後、関連法案とともに国会で協議、承認されれば、区割り再編が確定する。
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