囲碁のプロになるための登竜門「夏季棋士採用試験」がこのほど東京本院で行われ、落合在住の武井太心(たいしん)さん(16)が総合1位を獲得。来春からのプロ入りが決まった。「世界戦で活躍できる棋士になりたい」と今後の抱負を語った。
幼い頃からオセロに親しんでいたという武井さん。全国大会にも出たことがあるほど、その腕前は高かった。囲碁との出合いは小学校入学後に入った囲碁クラブ。白と黒の碁石がオセロに似ていたため「何となく始めた」という。
同時に「多摩市囲碁教室」にも通い、周囲の大人たちと碁石を並べながら腕をあげていった。本格的にプロを目指そうと、小学3年生の時に多くのプロ棋士を輩出している洪道場の門を叩いた。同道場には同年代の約30人が通っており「みんな強くてなかなか勝てなかった。プロまでの道は長いと感じた」と振り返る。
そうした中で東京都代表として少年少女全国大会に出場するなど実力をつけ、中学校入学と同時に東京本院の院生試験に合格。リーグ戦に出場するも順位が上がらない時期が続いたが、徐々に勝つことができるようになり順位もあがっていった。
そして迎えた今年度の「夏季棋士採用試験」。4月から6月までの院生研修の総合成績1位だけが合格できるプロへの登竜門。院生は17歳までの年齢制限があるため、今年が最後の年だった。「冬の試験は外来(アマチュア)の人も参加するので、レベルが高くもっと厳しくなる。プレッシャーが大きかった」と臨んだ試験は、4月は14勝4敗で1位。5月も14勝4敗ながら2位になり、6月は序盤から10連勝を飾り15勝3敗で1位を獲得。総合成績1位となり、悲願のプロ合格を成し遂げた。「素直に嬉しかった。周りの人たちにかわいがってもらっていたし、ライバルの院生の仲間も喜んでくれた」と笑顔で喜びを語る。
世界戦で活躍を
8月9日には「多摩市囲碁教室」で「お祝いの会」が開かれ、小学生の頃から知っている多くの人たちから祝福を受けた。同教室の貴島一晃副会長は「超難関のプロに、この教室の会員である武井君が合格した。非常に嬉しい」と祝った。武井さんも「ずっと応援をしてもらっていたので、少しは恩返しできたかな」とはにかむ。
9月からはプロ合格後、初の対局が始まる。じっくり打つ自分のスタイルをこれからも貫きながら勝ち上がっていきたいという。「盤上の駆け引きが面白くて始めた。それは今でも変わらない。世界大会に出場して活躍したい」と今後への意気込みを語った。
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