4月1日から全面施行された「東京都受動喫煙防止条例」。国の「改正健康増進法」も施行され、2人以上の人が利用する施設は原則屋内禁煙となり、決められた場所以外では喫煙することができなくなった。一方、多摩市ではひと足早く昨年10月1日から「多摩市受動喫煙防止条例」が施行され、約半年が経過。先行する中で課題も浮かび上がっている。
たばこを吸っている人が吐いた煙や、たばこから出る煙を吸ってしまう「受動喫煙」。受動喫煙は、肺がんや乳幼児突然死症候群、虚血性心疾患等の発症を高めるリスクがあるとされる。東京都によると受動喫煙による年間死亡者数は約1万5千人。受動喫煙のある人はない人に比べ、肺がんのリスクが約1・3倍になるという。
国の改正健康増進法は、昨年7月に一部施行され、学校や病院、児童福祉施設等や行政機関で原則敷地内禁煙となった。4月からは、それらの施設を含む多くの施設で屋内が原則禁煙となり、20歳未満は喫煙エリアへの立ち入りを禁止。屋内での喫煙には喫煙室の設置が必要となり、喫煙室には標識掲示が義務付けられた。
一方、都で施行された今回の条例では、保育所や幼稚園、小学校から高校などは敷地内禁煙で、屋外の喫煙場所も設置不可。大学や医療、行政機関の庁舎などは敷地内禁煙、屋外に喫煙場所の設置が可となった。加えて、それ以外の多数の人が利用する施設(ホテルや事務所など)は原則屋内禁煙。喫煙専用室内での喫煙は可で、従業員のいない飲食店は事業者が屋内禁煙や喫煙を選択することができるようになった。
屋内原則禁煙
国や都に先駆けて、多摩市では昨年10月1日に独自の条例を施行。国や都が屋内での禁煙を定めているのに対し、市では屋外での禁止事項を定めた。市内の公園は原則禁煙(当面の間午後9時〜午前5時は除く)、学校等の子どもが多く集まる施設や市の管理する施設に隣接する路上も禁煙となった。「多摩市まちの環境美化条例」で定められた市内4駅の周辺の「まち美化重点区域」を「受動喫煙防止重点区域」に指定し、同区域内での喫煙が禁止となっている。
市では、条例施行後、条例の周知のために「公園内禁煙」の看板を市内157の公園に237枚設置(2019年3月末時点)。小・中学校、保育園、幼稚園など64施設の周囲の路面に247枚のシートを張り、113枚の看板を設置した。加えて、小・中学校で保護者向けに配布するチラシを製作。禁煙治療費の助成も行っており、昨年10月の時点で申請は46件だった。また今年度中には、啓発や見回り指導員の配置も検討しているという。
より周知・啓発を
一方、地域では条例に対して理解を示しながらも、周知が足りないとの声も挙がる。聖蹟桜ヶ丘でたばこを販売している店舗では、条例施行後に店舗前に設置していた灰皿を撤去した。「市の要請で灰皿を下げたら売り上げが落ちた。灰皿がないにも関わらず店の前で喫煙する人も多く、吸い殻やごみを捨てていく人が増えた。喫煙者のモラルの問題もあるが、もっと周知をした方がよい」と話す。また同駅の喫煙所で喫煙していた人は「煙草が吸える場所が少ない」「条例は知らない」と話す人もいた。
市では「市民の方から禁煙区域かどうかの問い合わせもある。都や国のように罰則を設けているわけではないが、吸っている人、吸っていない人が住みやすいまちにしていけるように協力して取り組んでいきたい。今後さらなる周知、啓発を進めていきたい」と話している。
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