地域の足となっている多摩都市モノレールの町田方面延伸に関わる検討が進むなか、東京都は先ごろ、瑞穂町の箱根ヶ崎方面へと向かう計画素案を発表した。多摩センター駅から、上北台駅(東大和市)を結ぶ現行のルートになって20年が過ぎた今、延伸計画が動き出している。
都市モノレールの開業は1998年。JRや私鉄各線が多摩地域を東西に結ぶなか、南北をつなぐ交通機関としての期待を受けて運行を開始した。
運営する多摩都市モノレール株式会社が発表するデータによると、昨年度の1日平均の乗降人員は21万780人。新型コロナの感染が広がる以前の28万8278人(18年度)から減少はしているものの、地域に欠かせない存在となっている。
延伸に向けた計画は動き出している。多摩市は今年8月に町田方面への延伸計画に伴うまちづくりの検討会を町田市などと共に設立し、議論を開始。一方で、モノレールの事業者の1つである都は先ごろ、箱根ヶ崎までの計画素案を発表し、7駅を新設することや住民らに対して説明会を実施していくとした。
多摩市らが参加する検討会で会長を務める、交通・観光分野を専門にする東京都立大学の清水哲夫教授は「モノレールの延伸を実現するためには、沿線住民や外来者の利用を促進し、運賃収入を確保する努力が不可欠。そのため、会では沿線に定住する人や交流人口を増やすためのまちづくりの方向性を議論している」と説明する。
鍵は集客施設
箱根ヶ崎、町田ルートのいずれの案も開業日などの詳細は未定のままだが、それぞれの延伸が実現した場合、モノレールの主要駅の1つである多摩センター駅周辺にも影響はあるのか。
同駅周辺で不動産会社を経営する男性は「町田へ延伸した場合、多摩側からは町田に人は流れると思うが、向こうからの人の流れは少ないのでは。効果は感じられない」とコメント。
清水教授は「箱根ヶ崎延伸による集客効果を考えるうえでの鍵は多摩センター駅に近いサンリオピューロランドのような大規模な集客施設のがんばり。町田への延伸に向けては沿線住民らに対して、向こうにはない魅力を付与していく努力が必要と考える」と話す。
一方で、清水教授は近隣の大学に通う学生らが多摩センター地区に立ち寄るようにする工夫も街の活発化には大切とするうえで、「そのためにも、学生の同地区での放課後活動を活性化することができないかと感じている」と話している。
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