大和市はこのほど、中央林間の市有地にある遊び場・通称「ツリーガーデン」を、来年3月いっぱいで廃止する意向を固め、地元関係者にその方針を伝えた。これに対し、一部の住民が存続を求め署名運動を始めている。
ツリーガーデンは2006年12月に、緑野市営住宅跡地(中央林間1丁目)に作られた遊具広場の愛称。当時の大和市が設置費用として200万円を負担し、地元住民が管理と運営を行う「大和市協働事業」の一環として設置された。
広場にあるヒマラヤ杉や桜の木をそのまま活用して高さ5mのデッキを作り、その周囲にも間伐材などを再利用した遊具が点在している。
30人の地域住民からなる管理運営委員会が、安全面にも配慮しつつ、運営を続けてきた。市と同委員会は2006年の協働事業の契約締結から2度にわたり契約を更新。2010年4月には、来年3月31日までの3年契約を結んだ。こうした中、市から告げられた廃止の知らせに管理運営委員会が、「寝耳に水」と困惑している。
廃止の理由
大和市が協働事業の廃止を決めた背景には、転落事故によるけがの多さがある。市によると、2006年12月からの5年間で、設置してある遊具から転落して骨折した子どもは9人。そのほかにも大小様々なけがが報告されているという。
この遊び場では安全を確保するために、管理運営委員会が休日に限り、「プレイリーダー」と呼ばれる見守り人を1〜2人配置しているが、原則として自己責任で遊ぶように呼びかける看板などを設置している。
市では「事故の箇所を点検し、危険な遊具は撤去するなど市でも対策を講じてきたが、事故がなくならない。これまではけがだけで済んでいるが、死亡事故がおきる可能性も否定できず、行政として関わっていくのは難しい」としている。
「一方的過ぎる」
市が管理運営委員会にツリーガーデン廃止の意向を示したのは4月13日。役員を集めた臨時の説明会で事情を説明した。さらに30人あまりの委員が出席した5月26日の運営委員会でも市の職員が理由を説明して廃止の意向を伝えた。
その後、地元では有志ら10人が「ツリーガーデンの存続を願う会」を結成。存続を求める署名運動を開始した。委員の1人は「ツリーガーデンは、子ども達が自分の責任で自由に遊ぶための遊具。このすばらしい施設を来年以降に残すため活動していきたい」と話している。