神奈川県立がんセンター(宮野悟総長)=横浜市旭区=に併設し、整備が進められてきた重粒子線治療施設「i-ROCK(アイ ロック)」の開棟式が12月5日、関係者ら約170人が出席し行われた。同施設は、国内の重粒子線治療施設としては5カ所目。12月中旬から臨床試験での利用が開始され、一般患者の利用は来年2月からになる予定だ。
重粒子線はX線や陽子線に比べ、がんを殺傷する能力が高い放射線。副作用が少なく1回の照射線量を多くできるので、治療回数を減らすことができる。世界で稼働している同様の施設は現在、「i-ROCK」を含め9カ所。国内には5カ所の施設があり、世界中の患者の8割以上が日本で治療を受けている。
5日に行われた開棟式には黒岩祐治知事、土屋了介神奈川県立病院機構理事長、議員ら約170人が出席。あいさつに立った黒岩知事は「県民の長い悲願でした。日本のがん治療を切り開く施設にしたい」と話した。
専門病院と地下で連結
「i-ROCK」は、神奈川県が2005年に策定した、「がんへの挑戦・10か年戦略」の取り組みの一環として整備が進められてきたもの。建設費は約120億円。建設面積は約3000平方メートル。地上2階・地下1階建て。地下の通路でがんセンターとの行き来が可能になっている。重粒子線施設が、がん専門病院に併設されているのは世界初。また、国内他施設と比べ、交通利便性がよく、最新の照射技術が取り入れられていることなども特徴だ。
高額治療費が課題
重粒子線治療は健康保険適用外で、350万円の費用が掛かる。現行の先進医療制度では民間保険の特約が利用できるが、現在、国はその見直しを行っている。適用外となった場合には実費での治療となり、患者の負担増が懸念されている。
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