NPO法人日本点字普及協会の理事長を務める 藤野 克己(かつよし)さん 下和田在住 74歳
視覚障害者の水先案内人
○…点字に触れるきっかけは高校の文化祭。「点字のテキストを持っている同級生がいて、認知されていないから覚えて発表しよう」ということに。日赤主催の講習会に「自宅が一番近いから」という理由で参加させられた。「先生がスラスラと点字を読むのに驚いたし、点字には漢字がないので、正しい読みを調べるのが勉強になった」。国語が好きだったのも幸いし、「点字って何でもできる」と面白さに虜になった。
○…点字をマスターして、思いついたのがカンニング。「見つかっても解らない」とせっせとカンニングペーパーを作り、いざ本番。「でも触読が出来なくて…」と苦笑い。徒労に終わった過去をカミングアウトした。
○…横浜の生まれ。横浜に開設された血液センターに併設したのが、日赤の運営する点字図書館だった。ボランティアとして点字活動を続けていたことから声がかかり職員になった。84年、点訳の全国共通マニュアルを作る仕事のため岐阜へ。”期間20年”の仕事に、家族を口説き落とし、家も売って参加した。約束の期間終了後、「どうする?」「戻りたい」。家族の言葉で大和に終の住処を求めた。
○…趣味は読書。「一気に読みたいけれど、仕事に影響があるので」と自重する日々。現在は日刊紙に連載中の宮部みゆきさんの新作にはまっている。点字印刷が発達していない頃。点字図書館の利用者から「頼んだ覚えのない本が届いた」と電話があった。「そんなことはない、あなたが頼んだ本です。3年前に―」。今では「点字の本は忘れた頃にやってくる」と笑い話になるが、自身が読書好きなだけに、痛いほど気持ちが解るエピソードだ。ITの進化で「ベストセラーをベストセラーのうちに」の悲願が叶う日も近い。
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