つきみ野在住の小高一斗さん(22)は、今年からモータースポーツの国内最高峰の「スーパーフォーミュラ」に参戦。未来のF1ドライバーを夢に見て、日々奮闘を続けている。
小高さんは1999年生まれの22歳。父・宏之さんの影響で3歳からカートに乗り始めた。中央林間小時代の2009年には、全日本ジュニアカート選手権でチャンピオンに輝くなど数々のタイトルを獲得してきた。15年に国際自動車連盟(FIA)制定のF4選手権(FIA-F4)に出場すると、翌年の第3戦(富士スピードウェイ)で当時のシリーズ最年少記録(17歳1カ月)で初優勝を飾るなど着実に実力をつけステップアップ。19年に全日本F3選手権に、20年にはF3の後継シリーズのスーパーフォーミュラ・ライツとスーパーGTのGT300クラスに参戦。そして今年から海外を転戦する小林可夢偉選手の代役として国内最高峰のスーパーフォーミュラに参戦している。
スーパーフォーミュラは今年4月に開幕。国内5カ所のサーキットを転戦し、7戦のポイントで総合チャンピオンを決める。過去には元F1ドライバーで、アメリカのインディ500で2度の優勝を飾っている佐藤琢磨選手など多くの有名ドライバーも参戦している。
世界で戦えるドライバーに
開幕前「エンジンパワーとダウンフォース(空力によって発生する車体を押し付ける力)が全然違う。スピードも速い」と新しいマシンのパワーに驚かされたという小高さん。「結構きつい」という首にかかる重力は3・5G(およそ体重の3・5倍)。1レースの走行距離も約200Kmと長く、時間も1時間以上に及ぶため、筋力、体力ともに必要だ。
また「車のセットアップも難しい」という。マシンを早く走らせるためには、ミリ単位の微調整が必要となるが、レース前の練習走行も限られており、メカニックにいかに的確な指示が出せるかが「良い車を作る」カギとなる。「チームは一流なので勉強になることが多い。すごくいい経験になっている」とチームスタッフには絶大の信頼を寄せる。
6月19、20日にスポーツランドSUGO(宮城県)で行われた第4戦。レース前に「ハイスピードなコースで得意なコースの一つ」と話した通り、予選で今シーズン最高の11位を記録。結果には結びついていないものの確実に適応してきている。今年はスーパーフォーミュラら以外にもスーパー耐久にレギュラーで、スーパーGTにもスポットで参戦。テストを含め、ほぼ毎週のようにチームに帯同。「去年、今年と濃い1年を過ごさせてもらっている」と体制に感謝する。
今年からF1に参戦し、日本人で初めて開幕戦でポイントを獲得するなど活躍している角田裕毅選手(20)は、小さいころからの知り合いで、家族ぐるみの付き合い。2018年には一緒にF4選手権を戦い、角田選手がシーズンチャンピオンに小高選手が3位になっている。「すごいなぁと思う反面、悔しいなぁとも思う」と正直な気持ちを吐露する。ただ「まだ20代前半なのでチャンスは十分にある。これから5年くらいが勝負」と冷静に分析。決して焦りはない。「早めに結果を出して、世界で戦えるドライバーになりたい」と未来の夢舞台を見据えコースに立つ。