神奈川県は6月15日、今年度の県民功労者表彰の受賞者を発表した。市内からは社会福祉の分野で2人が選ばれた。表彰式は30日に県庁で行われる予定だったが、県庁のある横浜市がまん延防止等重点措の延長となったため、中止となった。
「つながった」後を大切に
受賞者の1人、下鶴間在住の村瀬てる代さん(72)は、長きに渡り民生委員児童委員としての活動が評価された。受賞の報せに思わず「私でよろしいんですか?」と聞き返したという。表彰式は急きょ中止となり「知事と会うチャンスなど中々ないので」と残念がった。
民生委員児童委員は、「地域の奉仕者」として、地域で支援を必要とする人たちに寄り添い、問題解決のため、関係行政機関へつなげるパイプ役として厚生労働大臣から委嘱される。1期3年。
大和市役所に勤めていた村瀬さんは、退職のタイミングで民生委員児童委員就任を打診された。市役所で福祉関係の部署にいたことや家族から「皆で協力する」との後押しもあり引き受けた。43歳の時だった。以来現在10期目。来年12月で30年を迎える。「地域のことは解っていても、役割については素人。家族と地域の人皆に協力してもらったから続けてこられた」と真っ先に周囲への感謝を口にした。
村瀬さんは2019年から下鶴間地区民生委員児童委員協議会の会長も務めており、月1回の定例会で地区内32人の仲間と情報を共有。心配事や困りごとを把握し、いち早く関係機関につなげる。協議会では32人全員の名前と担当地区、顔写真が載った「スマイルマップ」を作製、地区内に全戸配布するなど独自の活動も行っている。モットーは『つなぐ、つなげる、つながった』。「関係機関につなげっぱなしにせず、つながった後の結果を気にする」ことに心を砕く。「『一人で悩んでいなくてよかった』そう思ってくれる人が一人でも増えれば」と地域へ優しい眼差しを見せた。
高齢者福祉に強い信念
もう一人の受賞者の和田紀子さん(73)は、市内草柳の特別養護老人ホーム晃風園の元施設長。1987年に入職し、97年に施設長に就任。今年3月末まで24年間施設長を務め、現在も園長として事業に携わっている。同園は市内で2番目に開所した特養で今年で40周年を迎える。
和田さんは長年にわたる高齢者福祉活動に、強い信念と熱意を持って携わったことが評価された。