ヨーロッパでプロの体操選手として活動を始める 柏木 寅冶(ともや)さん つきみ野在住 24歳
活躍の場求めて、世界へ
○...希望した実業団からの誘いがなく、大学4年の夏に引退。一度は諦めた体操。一般企業に就職したが、コロナ禍によるテレワークが奇しくも燻っていた体操への思いに再び火をつけた。持ち前の行動力が出会いを引き寄せ、自らの力で体操を続ける道を手繰り寄せた。新潟県で働きながら海外での競技再開を模索。逆にコロナの影響で渡欧は当初の予定より1年延びたが、念願を叶え、いよいよ海を渡る。
○...2つ上の兄の後を追い、3歳から始めた体操。北大和小に入学後「本格的にやってみたい」と相模原市のクラブに入り、休むことなく毎日4、5時間の練習を繰り返した。中学時代はジュニアに日本代表に選ばれると、高校は体操の強豪校・千葉の市立船橋高へ。日本代表として東京五輪に出場した谷川航選手や弟の翔選手らと一緒に切磋琢磨。個人でインターハイにも出場した。大学は早稲田大学へ。ハードな練習環境に耐え、念願だった団体メンバーに選ばれ、貴重な試合経験を積んだ。
○...海外挑戦は「人と違うことをしたい」という思いと「体操を楽しみたい」という思いから。プロといっても契約金があるわけではなく成績報酬のみ。それでも「自分の挑戦で、新しい道があることを示したい」と体操界へ一石を投じる。
○...日本人体操選手として前人未踏の歩みを踏み出す今。ウクライナ情勢が不安定なこともあり、予定通り3月20日に渡欧できるかも定かではなく「不安しかない」と苦笑いを浮かべる。それでも「身体が持つ間はヨーロッパで活躍したい。自分という存在をどんな形でも良いので残したい」と鼻息は荒い。オリンピックの舞台にドイツやフランスの代表選手として出場する姿を目にする日が来るかもしれない。