大和市上和田の浄土宗信法寺(大谷慈通住職)の別院「薬王院」で9月6日、12年に一度の寅年に開帳される本尊・薬師如来像を納めた厨子の扉が開かれた。大谷住職による開眼供養のあと、上和田薬王院双盤念佛保存会(遠藤功一会長=今号人物風土記で紹介)による双盤念仏の音色が院内に響いた。
寅年の今年は12年に一度の「全開帳」にあたり6日、薬師如来像を納めた厨子の扉が全て開けられ、本尊の薬師如来像が姿を現した。
薬王院の薬師如来像は現在NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも登場する鎌倉時代の武将で、この地を地頭として治めた和田義盛が目を患った際、薬師如来への祈願で全快したとの伝承から、目の仏様として信仰されている。法要に際し薬王院を管理する上和田自治会(武藤寿栄会長)が、御開帳の際に境内に建てる供養塔としての意味を持つ回向柱(えこうばしら)や、義盛が眼病に用いたとされるショウガの販売などの準備にあたった。
武藤会長は「地域のとても大切な行事なので、これからも大切にしていく」と話した。
回向鉦(えこうかね)を叩く
また、この日は市指定重要無形民俗文化財の「双盤念仏」も上和田薬王院双盤念佛保存会によって披露された。
この念仏は6日の法要と翌7日、本尊・薬師如来の縁日にあたる8日、厨子の扉を閉める9日に唱えられた。遠藤会長は「厨子を開ける際の鉦の叩き方は回向鉦といって特別な叩き方。普通に叩くのが平鉦。この先も上和田の地に残していかなくてはならない」と言葉を強めた。