長年の防災・防火活動が評価され瑞宝単光章を受章した 佐藤 輝夫さん 福田在住 72歳
生涯かけ防災で恩返し
○…関東大震災から１００年の節目となる２０２３年を前に、「災害の記憶を風化させてはいけない」と警鐘を鳴らす。これまで長きにわたり地域の防災活動に尽力し、このほど瑞宝単光章を受けた。市消防本部で行われた叙勲伝達式では、受章の喜びよりも「毎日、毎日災害に備えるという気持ちを皆で持ちましょう」と繰り返し防災を呼びかけた。
○…藤沢市に生まれ、４歳で大和に移り住んだ。桜丘小・渋谷中に学び、高校卒業後に家業の寝具店を継いだ。働きながら寝具の専門学校に通っていた18歳の時、父が50代の若さで他界した。「母と二人で店を切り盛り。毎日必死だった」と当時を振り返る。周囲の助けにも支えられながら営業を続け、21歳の時、知人から地元消防団に誘われ、「支えてくれる地域の人たちに少しでも恩返しになれば」と入団した。
○…「昭和のころの桜ヶ丘駅周辺は飲食店が多く、今よりずっと火災が多かった。１日に３回出動も珍しくなかった」と当時の様子を明かす。真夜中の出動も少なくなかったため、入団後は飲酒をしなくなった。50歳を超え消防団を勇退後は、分団長の経験者などで構成される「日の丸会」に入り、消防団などから要請があれば、災害現場に赴く。「今もお酒は控えているよ」と地域防災に対して今も高い意識を持っている。
○…寝具店は15年ほど前に閉めて、現在は妻・次男と暮らす。趣味を尋ねると「ないね。ひたすら毎日地域のために活動できれば、それが一番の生きがい」と前を向く。12月下旬には市消防や消防団による歳末防火パトロールが実施される。「何かお手伝いできることがあれば、ぜひ」。恩返しで始めた活動は、生涯かけて続ける覚悟だ。
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