第24回NHK全国俳句大会で夏井いつき氏の特選作品自由題一席に選出された 佐藤 直哉さん 下鶴間在住 37歳
豊かな感性、17音に乗せ
○…「孤独死にあたたかな死後二日かな」。コロナ禍で切実に感じた孤独感や死に対する感情を詠んだこの句が、NHK全国俳句大会で審査員を務めた俳人の夏井いつき氏の目に留まった。「『あたたか(暖か)』はせめてもの救いを求める気持ちからでした」。この意図が夏井氏に伝わり「せめてもの供養とする詠嘆であるか」と講評された。「俳句人生で一番うれしかった」と声を弾ませ、賞状は一生の宝物になった。
○…俳句を始めたのは地域紙がきっかけ。同大会で大賞を獲得した男性の記事を見て「自分もこんな風になりたい」と火がつき、2015年から独学で俳句を始めた。本や俳句番組で知識を積み重ねていくのはもちろん、日常生活のふとした瞬間も、つい俳句を考えるほど没頭する毎日。「ピタッとはまる時がたまらないんです」。8年経った今でも、この感覚が原動力になっている。
○…茨城県守谷市の出身。小学生の時に先生から作文を褒められたことがうれしく、文章で表現することへの関心が強まった。「社交的な妹とは対照的に、控えめな学生時代でした」と振り返るも、水泳、ハンドボール、弓道など幅広く挑戦してきた。大学卒業後は25歳まで地元で日本語教師を経験し、転職を機に大和市へ。現在は公務員として、市内で介護保険の業務に携わる。
○…今までは一人で俳句をたしなんできたが、受賞を機に「俳句仲間が集う結社に入り、輪を広げたい」と今後の楽しみを明かす。取材後に大和市にちなんだ俳句をお願いすると「考えてみますね」と笑顔で快諾。市のシンボルでもある「山桜」を添えて「火を灯すやうに傘さす山桜」と一句。桜舞う鮮やかな風景が目に浮かぶ、素敵な句を寄せてくれた。
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