新型コロナウイルスの感染拡大により、大きな打撃を受けた飲食業界。今年5月には、感染症法上の分類が「5類相当」に移行し、マスクの着用も個人の判断となった。飲食店主や今年から飲食業界に参入した人たちに聞いた。
中央林間のイタリアンレストラン「タクバル」に集まったのは、同店のオーナー上村匠さん(41)、南林間のホルモン店「珍満」の大将・菊地努さん(49)、今年4月に福田で「ウメカフェ」を新規オープンした梅澤英一さん(55)と妻の儒里さん(47)。4人は年齢が近いこともあり、日ごろから付き合いがある。
「5類移行」以来、タクバルの店内からは間仕切りは消え、手指消毒のスプレーが数カ所残った。上村さんは「コロナはまだ収束とはいかないが、フェーズは前に進んだと感じる」と、透明のパーテーションが撤去された卓上を指さす。
コロナ禍を振り返り、「多くの飲食店が見よう見まねでテイクアウトを始めた。テイクアウト専門店も数多くあるのに、買ってくれた人が多くいてくださった。ありがたかったし、励みになった」と上村さん。
珍満の菊地さんは「お客様よりもスタッフの方が多い日がざら。でも、どうしようもない、やるしかないだけだった」とコロナ禍を振り返る。そして、「今も南林間地区の飲食店は多くが午後11時には閉店している。少しずつ前進しているが、大変さは残る」と厳しい表情で話す。
「地元発信」をテーマにおしゃれな店舗を構えた梅澤さん夫妻は、ミュージシャンとしての顔も持つ。新店の目的は「地域交流の場を作りたかった」と語り、コロナ禍で希薄になった「対面」の機会創出を見据えた時「それにはカフェだと考えた」と説明する。
コロナ禍を振り返り「飲食店が悪者扱いされているなと感じ、心が痛んだ」と英一さん。今の時期に飲食店を開業したことに不安もあるが、「今できることをする。お店によって少しでも地域を明るくできれば」と意気込んでいる。
「恩返しを」
感染症対策は適切だったのか。「(感染防止のために)電車を止めることはせず、五輪は開催。一方、仕方のないことかもしれないが、飲食業界は自粛を求められ続けた」と4人は振り返る。
そんな窮状に手を差し伸べてくれたのは、やはりお客様だった。上村さんは「テイクアウトを利用された方から『頑張って』と書かれたお手紙も頂いた。恩返しの気持ちでまちを明るくしたいと心底思った」と話す。
真っ赤な七輪を気の置けない仲間と囲む。おしゃれな店内で大切な人とゆったり過ごす。飲食店の魅力は、イートインでなければ伝わらない部分もあるだろう。今後にむけて4人は「笑顔が集う、地域を照らすお店をめざします」と話した。
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