自治会の加入率低下が慢性的な課題とされる中、大和市では加入率が10年続けて減少していることが分かった。大和市自治会連絡協議会(大山優会長)では、「地域の高齢化が大きな要因となっている」と分析している。
自治会は地域住民らによって運営され、地域の広報や防犯、美化活動のほか住民の声を行政に届けるなど、公共的な役割を担う。自治会役員は、各行事や会議への参加が求められ、昨今の加入率の低下に伴い、役員の担い手不足などが課題となっている。
自治連によると、市内には現在160の自治会があり、過去10年で大きな増減は見られない。一方で加入率は2015年4月1日時点が68・8%なのに対し、24年同時期は56・8%。大山会長は加入率低下の理由を「若者世代の減少と地域住民の高齢化」と分析し、「あと10年経てば、50%を下回る恐れもある」と危機感をつのらせる。
同会によると自治会の加入率低下による人手不足で、回覧板などでの情報伝達や災害時の連携、地域の見守り活動などが困難になるという。大山会長は「いざという時に地域内の連携は必要不可欠。自治会だけでなく、地域の問題として捉えるべき」と指摘する。
こうした中、地道な取り組みで加入率を上げている事例も市内にある。
大山会長が所属する「千本桜自治会」では、地域住民と一丸で引地川沿いの桜の景観を守るために清掃活動をしているほか、転入世帯のもとへ直接訪問し、地図や写真を用いて地域の魅力を発信。「まずは、自分が住む場所に愛着を持ってもらいたい」と大山会長。「さまざまな活動の参加可否に関わらず、ぜひ自治会へ」と根気よく呼びかけ、加入しやすい環境作りに努めてきた。
こうした取り組みから、同会の加入率は昨年時点で76・2%と市の平均を上回り、過去5年間で新築を建て転入した10世帯のうち9世帯が自治会に加入している。
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