第64回湘南梨品評会で「優等賞」を受賞した 山下 真一さん 福田在住 90歳
梨とともに、これからも
○…枝の剪定や株付、そして収穫。毎日のように梨畑に足を運び、春に白い花を愛で、たわわに実る夏の果実を収穫して70年が経った。丹精込めて育てた湘南梨が今夏、大和や海老名、綾瀬、寒川の生産者59人が出品した品評会で最高賞の優等賞(綾瀬市長賞)を受賞した。90歳での受賞に、「最近は若い世代の人たちが良い梨を出品していて、入賞から遠ざかっていた。今回の受賞は嬉しい」と目じりを下げた。
○…福田で300年続く農家の長男として生まれた。子どものころは学校が終われば、家で農作業を手伝った。「農家の子どもは家業を手伝うのが当たり前の時代だった」。中学を出て、将来を見据え農業高校へ進学した。実家で梨づくりを始めたのは1949年ごろだったと記憶している。市内の農家が40人ほどで取り組んだことがきっかけだった。栽培を始めたものの、収穫までに5年を費やした。「機械もなく、すべてが手作業で大変だった」と当時を振り返る。
○…現在は長女家族と寝食をともにする。長年連れ添った妻に昨年2月、先立たれた。「家庭も仕事も、妻が本当によく頑張ってくれた」と感謝の日々を過ごす。収穫時期には、猛暑のなか、ひ孫が農作業を手伝いに来る。それが楽しみ。「自分が育てた梨を楽しそうに収穫してくれて、食べてくれるのが嬉しい」と目を細める。
○…5年前に大病を患い、半年ほどの入院生活を余儀なくされた。起き上がることもままならず、「梨づくりもここまで」と、諦めかけた。それでも「家族や周囲の人のおかげ」でつらいリハビリや通院を乗り越え、農作業を再開させた。「5年先を見据えて枝を育てている。体が動く限り梨を作り続けたい」と、生涯現役を誓う。
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