大和市民が「ふるさと納税」の制度を活用して他の自治体に寄附したことによる住民税の控除額(流出額)が、2024年度は9億7048万円(公表値)だったことが分かった。総務省がこのほど公表した同制度に関する現況調査結果によるもので、流出額は県内の全33自治体で増加。大和市は前年度比1・3億円増で過去最多を更新した。
ふるさと納税は、全国の自治体に寄附金を納める制度で08年に始まった。寄附額から自己負担額の2千円を引いた分が翌年度の住民税などから控除されるため「税金の前払い」とも言われる。
さらに、地元以外の自治体に寄付した場合、寄付額の3割程度の「返礼品」を受け取ることができ、このメリットが制度の人気を維持してきた。
止まらぬ流出
大和市では、21年1月から返礼品を開始した。寄附金の受け入れ額は21年度から1億2757万円(3010件)、翌年度は1億2963万円(3152件)、7910万円(2745件)と推移する一方、流出額は5億1949万円、6億8982万円、8億3850万円と毎年増加を続け、差し引きでマイナスが膨らんでいる。
24年度の受け入れ額は25年3月末に集計されるため、現時点では不明だが、流出額と受け入れ額の差は開く一方だ。
返礼品の充実図る
受け入れ額では、宮崎県や北海道といった、ブランド牛や種類豊富な海産物など人気の返礼品を用意する地方の自治体が上位に並ぶ傾向がある。
一方、24年度の県内の流出額は88億7274万円増の796億2519万円。全33自治体で前年度を上回った。神奈川県民、大和市民が他の自治体に寄附を行う傾向は顕著で、市政策総務課の担当者は「大和市の返礼品を充実させるなど、対策を強化したい」と話す。
同課によると、市では64品目で始まった返礼品が昨年7月末に172品目、今年7月時点では184品目まで増えている。市内飲食店の食事券や市が推奨する和菓子の詰め合わせ、大和の芋焼酎「和み」などが並ぶ中、担当者は「今後もさらなる返礼品の充実に加え、市の魅力を積極的にアピールしていきたい」と語った。
大和市は地方交付税の交付団体であることから、流出額の75%は翌年度の地方交付税に算入される。