大和市内在住の作家・市川沙央さん(45)の手形モニュメントがこのほど完成した。「芥川龍之介賞」の受賞を称え、その功績を市民に身近に感じてもらいながら、未来に伝えていこうと市が設置した。
21日に市役所で開かれた除幕式には、市川さんと市川さんの両親も出席した。古谷田力市長は「大和市には図書館のシリウスがあり、本という共通点として大きな勲章ができた。皆さんも手をあてるなどして、幸せを実感できれば」とあいさつした。
市川さんは昨年、重度の障がいのある女性を描いた作品「ハンチバック」(文藝春秋)で第128回文學界新人賞と第169回芥川賞を受賞した。この功績を称えて、今年2月には市川さんに市民栄誉賞が贈られた。
モニュメントは青銅製で縦横32センチ。市川さんの右手の手形と、直筆の名前の写しが刻まれている。同日に市役所前「さくら門」に、翌日には文化創造拠点シリウスに設置された。
「いつか大和を」
式に招かれた市川さんは「先祖代々大和市に住んでおり、大和市民として誇りを持っている。(芥川賞受賞作の)『ハンチバック』はポジティブなアピールにはならないかもしれないが、いつか必ず大和市を舞台にした、ポジティブで明るい話を書いて、恩返ししたい」と話した。
市が手形モニュメントを制作したのは、市川さんで8人目。これまでノーベル化学賞を受賞した根岸英一さんや、ローザンヌ国際バレエコンクールで1位となった菅井円加さん、直木賞を受賞した青山文平さんらの手形が刻まれている。