徒然想 連載322 花のお寺 常泉寺 住職・青蔭文雄
今月は、発心(ほっしん)は一発にしてさらに発心せず...仏教を聞くにあらず。仏法を知れるにあらず、です。
出典は、鎌倉、道元著『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』発無上心(はつむじょうしん)。
意は、ただ一回だけの発心では菩提心を起こすことはできない。これは仏道を学ぼうとしている態度ではなく、また仏法を知る姿勢ではない、ということです。
この文言の前に「発心してから修行し、悟りを開き、最後に涅槃を得るのではない。発心・修行・悟り・涅槃は同時に起こるもの。その同時に起こる一発心を百千万回起こせ、修行と悟りも同様に百千万回するのである。それなのに...」とあり、冒頭の文言に続くのです。
師が発心と言っているのは発菩提心のことで、悟りを求めて修行の決心をすることです。その発心をするのと同時に修行、悟り、涅槃も完成しているという。発心するとは仏道の道を歩きだすことであり、歩き続けることが修行、同時に悟りを得ることなのです。
一歩を歩き出すことがすべてなのだと師は教えており、それだけに発心を百千万回も繰り返し、百千万回歩き続けることが、悟りの道を歩むことにほかなりません。
新しき年が、平穏無事な日々でありますようお祈り申し上げます。
桃蹊庵主 合掌
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