令和2年度大和市文化芸術顕彰 文化芸術未来賞を受賞した 白鳥 永夏(えいか)さん 中央林間在住 37歳
こぼれ落ちるもの表現
○…『ぜいたくなあさ』、『まどろむ、わたしたち』。詩のように紡がれた文章に、細部までこだわって指示を出したイラストが描かれた作品は、今、新しいジャンルとして反響を呼んでいる。今年8月には、ドラマ仕立てに書き下ろした文章の朗読とイラスト、音楽、オブジェを組み合わせた初の空間展示を演出。既存の枠組みにとらわれず、新たなジャンルを開拓する作家として注目を集める。「大人の絵本を書いているつもり。イラストと相まって、映画のように読む人に伝われば」と自著を評する。
○…都内大森の出身。実家は下町の製造業で、祖父母と父母、兄弟3人の7人家族で育った。「自分の美の原点は着物」。曾祖父や祖母の影響を受けて、幼少期から着物が好きだった。高校生になると「自分で仕立てたい」と和裁を習い始め、以来、普段着は常に着物。大学は国文学を専攻し、大学院では服飾美学を研究。博士課程まで修了した。研究員をしていた27歳の時、フランスに遊学。現地で見たアートフェスティバルに強く衝撃を受け「研修職ではなく、表現者としての道を歩みたい」と思った。
○…趣味はお酒を楽しむこと。15年以上住む中央林間には、行きつけの店が沢山。「どこかのお店に行けば誰かしら知り合いがいる」と微笑む。毎晩いろんな人と会って話をするなかで刺激を受け、作品のインスピレーションを得ている。
○…すでに2歳の頃から自身の性別に違和感を覚えていた。数年前に決断し女性として人生を歩み始めた。「今、いちばん髪が長い」とにっこりと笑う。作品を制作する上で大切にしているのは「マージナル(境界)な人であったり、こぼれ落ちてしまいそうなもの」。表現者として、枠にとらわれない活動を続ける。
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