2020年9月から交通死亡事故ゼロが続く大和市。「比較的平坦な土地柄で自転車の利用者も多い」(市道路安全対策課担当者)と言われる同市だが、自転車事故は減少傾向にある。また、13〜15歳の自転車事故の割合も「全国と比べて少ない」と同課担当者は指摘する。その背景には、市が2016年度に始めた「独自免許」の存在があるようだ。
市は2016年度から、小学5・6年生と中学1〜3年生の児童・生徒を対象に「大和市自転車運転免許証付帯保険」を導入した。
小学5年と中学1年時に自転車交通安全教室を受講してもらい、修了の証として市が作成した「自転車運転免許証」を交付するもの。免許証は小学生が緑色で、中学生は青色。氏名と学校名などが記されている。
市と保険業大手「損害保険ジャパン(株)」がタイアップした取り組みで、教室の講師は市職員や同社の社員が担当。自転車による加害事故に焦点を当て、事故の悲惨さや自転車に乗る側の責任などについて指導してきた。
児童・生徒に渡される免許証には自転車保険が付いており、賠償責任保険金額は上限1億円。同居家族にも適用される。同課によると、制度が始まった16年時点で同様の仕組みは県内自治体には例がなかったといい、担当者は「大和市独自の取り組みであり、一定の成果も出始めているのでは」と指摘する。
数字に表れる成果
市内の自転車事故は、16〜19年は220件、260件、269件、260件と推移したが、20年は201件、昨年は205件と減少傾向だった。
また、市内の自転車事故に占める13〜15歳の割合では、制度開始前の15年が9・4%(全国平均10・2%)だったのに対し、20年は3・0%(同7・3%)となっており、担当者は「制度に手ごたえを感じている。引き続き無事故社会の実現に努めたい」と話した。
市では、今年度の当初予算に同制度の事業費として1742万円を計上している。