衆議院議員総選挙の投開票が10月27日に行われ、神奈川13区(大和市・綾瀬市・横浜市瀬谷区)は立憲民主党の前職・太栄志氏(47)が8万8833票を集め2期目の当選を果たした。小選挙区での勝利を目指した自民党新人の丸田康一郎氏(39)は比例重複で初陣に臨んだが、惜敗率でも遠く及ばなかった。
投票が締め切られた午後8時ごろ、太事務所(大和東)には支持者ら10人ほどがいた。選挙速報サイトで太氏の当選確実が告げられると少しずつ歓声があがり始めた。
当初の予定を早めて、8時15分ごろ事務所入りした太氏を迎えた時点でも支持者らは20人ほど。太氏は「こんなに早く決まるとは思っていなかった」と驚きを隠さずに支援者らと握手を交わした。
本紙の取材に太氏は「自民党政治を終わらせる戦いで、日に日に後押しが増えていった。野党分裂で不利な状況だったが、この3年間、小選挙区で勝とうと誓い合ってきた。こういう結果になって良かった。目標にしていた1万人との握手では1万5千人とできた」と喜びを語った。
2期目に向けては「ライフワークである外交・安全保障・物価高対策を含めた経済対策、お金の透明性を高める政治改革に取り組んでいきたい」と力強く抱負を述べた。
逆風の中、善戦
午後9時25分ごろ、深見東の選挙事務所に姿を見せた丸田氏は、集まったおよそ40人の支援者に対し「最高のチームに恵まれたが、結果を出せなかったのは私の力不足、準備不足に尽きる。本当に申し訳ないし残念で、言葉にできない」と声を震わせた。
本紙の取材に丸田氏は「思いがあっても、伝わらなければ意味がないと分かった。そのメッセージが伝わるよう、これまでの活動を見直したい。選挙戦を通して学んだ点も多かった」と話した。
今後については「(党の意向もあり)私一人で決められないが、私としては引き続き挑戦を続けていきたい」と語った。
丸田氏の落選について陣営関係者は「候補者本人も陣営側も逆風の中で善戦していた。手応えもあっただけに、選挙戦終盤の報道にブレーキを踏まれた思いだ」と述べ、党本部が衆院選候補者の党支部に2千万円を振り込んだことに不快感を示した。
別の関係者は「直接的な批判は甘利さんの選挙の方が厳しかったが、知名度の点で課題があった」と話していた。
各氏の声
日本維新の会の新人・京利英氏(44)は「減税を中心に政策を訴えたが現実的でないと受け止められ、有権者に響かなかった部分がある」と振り返り「ここからがスタートと捉え、13区で頑張りたい」と話した。
参政党の新人・石井匡氏(57)は「参政党の周知が足りず、自分自身の活動もやり切れなかった」と選挙戦を総括。「次期選挙への立候補は県連などとも相談して判断したい」と述べた。
日本共産党の新人・早川宇多子氏(67)は「公示直前で立候補を決断し時間のない中での挑戦だったが、思う存分に戦えた」とコメント。今後も「政治の世界でやっていく気持ちは変わらない」と語った。
甘利氏も落選
衆院選に小選挙区比例代表並立制が導入された1994年以降、13区で比例復活を含めて自民党が議席を確保できなかったのは今回が初めて。
長らく13区を地盤としてきた自民党の甘利明氏(75)は、区割り変更を受けて新20区(相模原市南区・座間市)に「国替え」したが落選した。党の定年制で重複立候補できず、議席を失った。
厚木基地の騒音問題への対応やシリウス建設、海老名駅東口の開発など、数多の功績を残した大物政治家の落選は、大和市のみならず経済界や県央各地の行政にも大きな衝撃を与えた。
13区の投票率は51・97%。大和市は前回より2・13ポイント低い52・57%だった。