海老名むかしばなし 第18話 摩尼山の七不思議(三) のぞき小僧
お寺の天井から小僧が下をのぞくというので、「のぞき小僧」と怖がられ、その正体がわからぬことから、これが七不思議の一つに数えられていた。
その顔は丸く、坊主頭で三、四歳の子供位の大きさだが、いつどこの天井穴から、どんな時に顔を出すかは決まっておらず、予期しない時に不意に顔を出しアッという間に引っこめてしまうので、「出たっ」と言う声にみんなが天井を見上げた時にはもういない。
したがってたくさんの人が同時にその顔を見たというようなことはなく、たまたまその方向を向いて座っていた人が何気なく天井を見上げたというような時、この「のぞき小僧」の顔にぶつかるので、よけい気味悪がられたようである。
幕末のころ、摩尼山の観音堂に妙貞尼という老尼が住んでいたが、別当寺の清眼寺は無住で時々村人が集会に使う以外は戸も開けず、荒れるに任せてあった。
慶応に入ってから、衡平という岡っ引きが地元の了解を得てこれを修理し、二人の子分とともにここに住んで大谷村の治安に当たっていた。
《次回に続く》
参考資料/海老名むかしばなし
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