総重量約25トンの土蔵を建物ごと持ち上げて左右に移動させる曳家工事がこのほど、綾瀬市大上の民家で行われた。
個人が所有するこの土蔵は、もともとあった場所で基礎から切離されジャッキアップし、306本の枕木で四隅と中央、上下左右の9か所に井桁を積み上げながら垂直に約2・3メートルひき上げられた。
さらに枕木で作った道板を使い約25メートル横へ移動し、新たな基礎の完成を待った。
土蔵があった場所には土を入れて約2・3メートルかさ上げし、およそ7メートル四方の基礎を設置。着工から約1カ月たった6月15日に約2時間かけて新しい基礎の上まで移動させた。
曳家工事を指揮した(株)長谷川土建(藤沢市葛原)社長の長谷川一夫さん(67)は「曳家工事は昔からの伝統的な鳶工事の技術だが、近頃はめっきりと依頼が減っている。段取りが仕事の八割を占める」と話す。
この日、新しい基礎に土蔵を曳き終えた長谷川さんは「無事に終えられてよかった」と安どの表情を浮かべていた。
工事を依頼した男性は「代々からの蔵をいい形で残せて嬉しい。凄い工事だ」と話し、移動する様子を見守っていた。
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