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栗原神社シラカシの木 早期治療で疫病退散 樹齢530年、ナラ枯れ回避

文化

公開:2020年11月20日

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処置をしたシラカシの様子を確認する総代長の大矢さん
処置をしたシラカシの様子を確認する総代長の大矢さん

 座間市栗原中央の栗原神社(山本孝司宮司)の御神木で推定樹齢530年、高さ20メートルのシラカシの木が”流行り病”による立ち枯れの危機を寸前で回避した。神社総代長の大矢一則さん(73)は「手遅れにならずに済んだ」と、安どの表情を浮かべている。

市天然記念物「これからも大切に」

 栗原神社のシラカシは1978年に座間市の天然記念物、84年にはかながわ名木100選に指定された大木。「約七百数十年の樹齢を全うして1967年6月に伐採された、高さ27メートルの大杉」(栗原神社記念碑より)に代わる御神木として、50年以上にわたり親しまれてきた。

 2007年には県による調査が行われ、木の根元や幹の腐朽が確認され「継続的な虫害防除が必要」と診断された。

早期診断が奏功

 ブナ科のシラカシは、2017年から県内で被害が拡大している「ナラ枯れ」にかかりやすい樹木のひとつで、座間谷戸山公園では10月時点でシラカシと同じブナ科のクヌギやコナラなど261本(前年24本)の被害が確認された。

 ナラ枯れをもたらす害虫は木から木へ移動して幹に潜り込み、害虫がもたらす菌により根元から水分を吸い上げる機能を失い、葉が赤褐色になり枯死する。免疫力が高い若い木よりも老木が被害を受けやすいという。

 こうしたなか御神木を心配する声が総代長に寄せられ、10月25日に樹木医の診断を受けたところナラ枯れを引き起こす害虫のカシノナガキクイムシの潜入が判明した。

 そこで神社の総代会は、シラカシを診断した樹木医で市の樹木健康診断にもかかわる長澤利教さん(横浜市港北区)に指導を仰ぎ、根元から4メートルの高さまで殺虫剤を噴霧。木の幹をビニールシートで被う処置を11月1日に施した。

 長澤さんは「処置の効果が出ていて被害は少なく済んでいる。木を思う気持ちが早期発見につながった」と話す。

里山の現代病

 長澤さんによると、県内でナラ枯れの被害が深刻化している背景には、伐期を過ぎた老木が増え続けている問題がある。

 高度経済成長による化石燃料の普及に伴い薪となる木が伐採されなくなった。こうして放置された木が年月を経て老木となったため、ナラ枯れの被害が拡大しやすくなった。ナラ枯れはいわば、里山の現代病ともいえる。

 総代長の大矢さんは「ナラ枯れに気づけてよかった。市と県の担当者にも良くしてもらいすぐに処置することができた。これからも御神木を大切にしていきたい」と話している。

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