海老名市農業委員会の会長を務める 深澤 伸治さん 海老名市上郷在住 67歳
難しい、だから面白い
○…海老名市における農地の貸し借りの把握、新たな農業の担い手の参入促進、遊休農地の巡回などを通して、厳しい農業情勢を改善すべく取り組む農業委員会のトップに就任した。「あまり表に出るタイプではない」とはにかむが「市とは独立した、農業者の公的な行政機関なので身が引き締まる思い。農業への恩返しの気持ちで職務を全うしたい」と意気込む。
○…海老名の原風景ともいえる水田。6月になると海老名駅近くのタワーマンションや商業施設が水面に映る「早苗田」が広がる、まさしくその場所で農業を営む。「街の発展はとても喜ばしいこと。一方で、一人の農業者としては農地が減っていくことに寂しさもある」と複雑な心境を語る。今年設立された支援センターを弾みに、新たな担い手の確保にも注力したい考えだ。
○…先祖が海老名に来たのは明治時代。戦後「外国人の住む横浜には花の需要あり」と祖父がスイートピーのハウス栽培に挑戦し成功を収め、自身も幼少期から花の選別を手伝った。中央農業高校を卒業後に本格的に家業に就農。「『赤いスイートピー』が流行った頃は価格が倍になった。今はそのブーム以前よりも価格は下がったが、仏花などさまざまな用途で暮らしを彩っている」
○…スイートピーは「曇りの日が3日続くとつぼみが落ちてしまう」ほど栽培が難しく、そこが栽培の醍醐味。都市型である強みを生かして開花時期に自宅で行う直売も農家としてのやりがいを感じる瞬間だ。「花を見て『きれい』『一カ月も花が持った』と言ってくれると嬉しいですね」と笑顔を見せる。子どもは息子3人で、今は3人の孫と遊ぶのが幸せ。1日の終わりに350ミリ缶のビールを飲み英気を養うのがルーティーン。
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