綾瀬市吉岡で22日、牛や豚、鶏などに与える飼料米の収穫が行われた。畜産関係者が作付けした耕作地の一部には市が拡大を懸念する休耕田の荒廃農地も含まれていて、市もその取り組みに注目している。収穫した飼料米は高座豚に与えられる。
飼料米の栽培を始めたのは、神奈川県畜産振興会の会長で高座豚手造りハム創設者の志澤勝さん。綾瀬市吉岡にある高座豚手造りハムの豚舎に隣接する農地約5千平方メートルを地元農家から借りて飼料米の品種「夢あおば」を作付けした。
輸入に依存する飼料米はウクライナ危機の影響で高騰し、昨年同時期と比ベて4割ほど価格が上昇している。政府による飼料用米の転作などへの助成や、耕畜連携による飼料米の栽培で飼料の自給率を上げる取り組みが注目されるようになっている。
千葉で先例
志澤さんは15年前から、千葉県旭市などの農家の協力を得て飼料米を生産し、自社の養豚に活用してきた。さらに豚が排出した糞尿を堆肥として農家に還元する循環型の耕畜連携にも着手するなど、海外に依存しない畜産経営を実践する。
綾瀬でもこうした耕畜連携を定着させ、県内全域にも広げたい考えで、この取り組みに賛同した吉岡地区の農家3軒の協力を得て、今年5月に初めて飼料用米の田植えを行った。
志澤さんによると今年の収穫量は約2トンで、9月末から吉岡で肥育する高座豚に与え始めるという。米を与えた豚はオレイン酸が多く含まれ、口どけなめらかな食感になるという。
荒廃地対策も
綾瀬市によると市内には274haの農地があり、全体の約1・1%が荒廃地化している。田んぼの割合はこのうち46%で、市はこうした耕作放棄地の拡大を懸念している。今年度は初めて千葉県に足を運び、耕畜連携の先進例を視察し、畜産農家の支援のあり方も模索している。
志澤さんは「食料自給率を上げることは日本全体の課題。同時に、輸入飼料に依存する畜産業が大きなリスクに直面している。荒廃地の活用にもなるため市や県の動きにも期待したい」と話す。
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