ビナレッジでの自主夜間中学「えびなえんぴつの会」の代表を務める 廣田 久美子さん 海老名市中新田在住 77歳
自由に走ればいい
○…海老名市のビナレッジで開かれる自主夜間中学校「えびなえんぴつの会」で代表を務めている。年齢も国籍も様々な生徒が、時には楽しげに、集中しながら取り組む。寄り添って6年。消費税の計算がやっと分かったという声や、不登校の子が少しずつ通ってくれるのが無上の喜び。 教える側には元教員のほか、様々な職歴の仲間がいて心強い。「誰でもいつでも来て欲しい」と扉をあけている。
○…静岡県の大井川沿いにある川根本町出身で「真面目っ子」だった。教員を目指して入った大学では都内の低所得者層の家をまわり、子どもに勉強を教える活動に身を投じた。「貧しくても勉強で自立できるように」と子どもたちの宿題を教え、遊び相手になり、いつしか子どもたちの家の柱に「困ったら廣田さん」と連絡先が書かれていた。 「あの頃は希望に燃えていました」と懐かしむ。
○…卒業後は中学校の数学教員になり、長く相模原市の学校で教え、今も同窓会に招かれる。教える側に立ちながらも、スカートや髪型を細かく決めた校則がむず痒かった。生徒が校則違反で怒られる時は一緒に怒られているようだった。「自由が好きで、外れたがりなので」。今開く自主夜間中学はその対極にある。服装も学ぶ内容も自由。子どもが通いやすいよう、当初の夜間から昼の開催に切り替えた。
○…結婚して海老名に移住。道路も建物も少なかった当時の風景が忘れられない。「水を引いた広大な田んぼに空や雲が映ってね」と目を細める。毎年「中新田かかしまつり」に参加し、思いついた政治家や有名人を作ってきた。気晴らしはサイクリング。宮沢賢治の『風の又三郎』を唄いながら、今日も田んぼを駆け抜ける。
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