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海老名のイチゴで醸造 廃棄果実に着目

文化

公開:2024年11月22日

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商品を紹介する伊藤醸造長
商品を紹介する伊藤醸造長

 海老名市下今泉のビール醸造所「Better life with upcycle」(伊藤将広醸造長)がこのほど、地元産の廃棄イチゴを使ったクラフトビール「ストロベリーミルクシェイク」を商品化した。市外のイベントで販売したところ消費者からの評判も良く、都内の飲食店から商品の問い合わせも増えているという。

 「ストロベリーミルクシェイク」は、イチゴの芳醇な香りとフレッシュな酸味、乳糖を加えたことで生まれたまろやかな口当たりが特長。伊藤醸造長は「ビール本来の風味とイチゴの良さを感じる飲みやすい味わいに仕上がった」と説明する。

 商品が誕生した背景には、社会課題にもなっている食品ロスへの取り組みがある。同醸造所は、株式会社栄屋製パン(梅田高嗣代表)がサンドイッチを製造する過程で出るパンのミミを有効活用するため、今年2月に開設。パンのミミを使ってクラフトビールを醸造、販売している。

 新商品は新たな挑戦として地場農産物をテーマに開発を進める中で、県内一の出荷量を誇る海老名のイチゴに着目。同市本郷の武井いちご園(武井哲也代表)に協力を要請した。

 同農園は、年間約10トンのイチゴを生産する中で、傷があるなどの理由で出荷できずに廃棄する量は約100kgに及んでいた。傷があっても味に問題ないとして、武井さんは自宅で出来る限り消費していたという。

 武井さんは「廃棄するのはもったいないと思っていたが個人で消費するには限界があった。有効活用してもらえるのはありがたい話だった」と説明する。

飽きない飲み口

 商品化にあたり原料には、冷凍した「かなこまち」と「とちおとめ」の2品種のイチゴ約35kgを使用した。伊藤醸造長は「イチゴの甘い香りが強すぎると飽きられてしまうが、弱過ぎても商品の魅力が下がる」との思いから、イチゴの強い香りとビールの苦みや風味を調和させるためホップを変えるなど、試行錯誤を繰り返したという。

 商品は、同醸造所のオンラインショップで購入可能で価格は350ミリリットル(6本)で税込3762円。数量限定のため売り切れ次第、終了となる。

 今後について伊藤醸造長は「イチゴだけでなく、地元の農産物を活用し、サステナブルなビールづくりに挑戦したい。ビールづくりを通して、生産者の皆さんの支えにもなりたい」と話した。

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