市役所で展示会を開いた「入谷歌舞伎会」の会長を務める 島村 利明さん 座間市入谷西在住 84歳
支えに応えて、次の舞台へ
○…座間市民が役者となって演じる「入谷歌舞伎」。迫力の化粧を施した公演時の写真と、取材中の笑顔が別人すぎる。ズボンには大きなポケットがあり、台本が入る。外出先でも台詞を覚え、自宅トイレにもコピーを貼って覚える。おもむろに段ボール箱を開くと中には使い込んだ台本が、28年間の歩みが詰まっていた。「最初はお手伝いだったのに、光秀や義経、黒子もやりました」
○…福島市出身。5歳で終戦を迎えた。少年時代は数少ない遊び道具だった自転車にのめりこんだ。手放し運転で学校に通い、ハンドルを背に後ろ向きでこぐのも得意だった。工業高校卒業後に上京し、一級建築士と土地家屋調査士の資格を取得。長く歩んだ調査の仕事は登記の一部となって残り、やりがいがあった。入谷に開業して根をおろし、いつの間にか肩書は相談役に。名刺を見せながら「相談こない」と笑わせる。
○…コロナ禍は稽古も公演もできなくなり、歌舞伎のDVDを見て学ぶ研さんの時間にあてた。毎年公演の場だったハーモニーホールが大規模改修で2年使えない。令和8年のこけら落としを目指すなか後進育成の課題も。39人の仲間には若手もいるが、80歳代が15人。体調がすぐれず舞台を降りた仲間もいる。指導者も他界し、模索しながら稽古を重ねてきた。
○…普段は田んぼや畑の手入れが日課。座右の銘は「健康第一」で血圧を毎日チェックし酒は飲まない。すべては2年後を見据えた自己管理だ。会長としての動きを見守るのが妻の登志子さん。小道具づくりなどの面で手伝ってくれる上、料理が上手。無邪気な笑顔で「おかげで好き嫌いはない。なんであんなに美味いんだ」と腕を組んで考え始めた。支えてもらう幸せが、笑顔に滲む。
|
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>