綾瀬市議会の議員定数削減・議員報酬の増額を求める陳情と、現行定数20の維持を求める陳情が、開会中の綾瀬市議会(古市正議長)定例会に提出された。11月28日の議会運営委員会(齊藤慶吾委員長)で付託審査が行われ、議員定数削減などを求める陳情を賛成多数で趣旨了承とした。同議会では今後、定数削減と報酬増に向けた検討が始まる。
趣旨了承とされた陳情は、早川在住の男性が提出した。陳情文では、今年7月の市長選挙に現職の市議2人が辞職して立候補したことをあげ、「(18人でも)9月議会は滞りなく運営された」とした。議員一人当たりの人口は近隣市議会よりも少なく、2人削減しても「民意が反映しづらくなるといったことは起こらない」とした。
議員のなり手不足の要因に「議員報酬の低さ」をあげ、「現在の月額報酬は01年に改訂されたもの。当時と比較して神奈川県の最低賃金は706円から400円以上も上昇している」と指摘。「少数となる議員にこれまで以上に議会活動を積極的に行ってもらうために議員報酬や政務活動費の増額も必要」とした。
議運の意見陳述では、「議員一人当たりの人口比は合理的な判断基準ではない。藤沢市の人口比でいけば綾瀬市は定数6、横浜市では2でいいということになる」、「全国的な傾向として地方議員のなり手不足が問題視されており、その要因の一つとして議員報酬の低さがある。綾瀬市においては看過できない」、「議員報酬と定数削減は分けて考えるべき」などと主張が交わされた。
委員長を除く7人の採決では趣旨採択に賛成が5人、反対2人で趣旨了承となった。
他方、定数維持を求める陳情は同市上土棚中を拠点とする市民団体が提出。「社会的弱者の要求を市政に反映させる必要から、それを代弁できるだけの数が求められる」などとしたが、採決では賛成2、反対5で趣旨不了承となった。
議論の背景
綾瀬市議会の議員定数は78年の市制施行から99年まで26人で推移。その後、段階的に4度削減した。直近では15年に1人削減している。
今夏には現職2人が辞職して市長選に出馬。いずれも補選の実施基準日を過ぎた辞職だったため補欠選挙はなく、現在は2人欠員の18人で運営している。今後も欠員が4人以上にならない限り補選は実施されない。
綾瀬市の議員報酬は月額39万8千円で年収約680万円。これとは別に政務活動費として月額1万2500円(年額15万円)交付される。綾瀬市は県内19市で4番目に人口が少ないが議員報酬は2番目に少なく、政務活動費は3番目に少ない。
綾瀬市に次ぐ人口約10万人の伊勢原市(定数20)は議員報酬が月額43万5千円で政務活動費は月額2万円。綾瀬市の次に少ない人口5万8千人の逗子市(定数17)は議員報酬が同43万9千円で政務活動費は同2万円。
全国市議会議長会の23年の調査によると、人口5〜10万人未満の全国235市の平均議員定数は20・4。平均月額報酬は40万3千円。政務活動費は、交付している同規模の全国215市のうち47%が月額1万円台、32・6%が2万円台。
本紙の取材に応じた議会運営員会の齊藤慶吾委員長は、「(趣旨了承した)陳情の趣旨は削減の検討であり、削減が決まったものではない。来年1月をめどに議会内に協議会を立ち上げて検討を開始することになる」との見通しを示した。
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