綾瀬中ブラスバンド部の恩師のために結成した吹奏楽団の団長を務める 比留川 勝さん 綾瀬市深谷南在住 73歳
あふれる恩返し 束ねる
○…綾瀬中学校ブラスバンド部の恩師のために元部員の仲間と楽団を結成、1回限りの公演を11月に開く。「いつも先生はニコニコと、基礎を大事にされた。つらいと思った事はなかった」。吹奏楽の種を与えられた恩を振り返り、感謝の言葉が止まらない。「何とか再会したい」という願いが通じたのかもしれない。かつて部長を務めた実績もあり、仲間から団長に推された。
○…比留川の近くに生まれ育ち、少年時代は飛び込んで遊んだ思い出も。実家が兼業農家で「農繁期は学校を早退して収穫を手伝っていました」。ある日、綾瀬小に米軍の楽団が慰問演奏にやってきた。背の高い軍人の姿や地響きがするような演奏に衝撃を受けた。中学で吹奏楽部に入り、恩師の指導を受けてトロンボーンに没頭。夏休みも楽器を借りて自宅で練習を重ねた。
○…大学では精神衛生を学び、その後奈良県立医大に入り直して医師の道へ。都内の病院に勤務した後「地元に貢献したい」と綾瀬で開業した。小児科も内科もある医院で院長を務めていると、かつて診た赤ちゃんが成長して将来の夢を話してくれる時がある。「先生、子どもが生まれたよ」と報告も聞く。人生の最終章を家族に見守られながら、静かに。そんなシーンにも在宅医療で幾度となく立ち会った。
○…多忙で長年演奏から遠ざかっていたが、身内の結婚式でサプライズ演奏をするため、再び楽器を始めた。最近はサックスやリコーダーにのめり込み地域のイベントで子どもたちと共演することもある。「音楽は人を勇気づけ、癒して、こんなにもつないでくれた」。楽団のハーモニーを聴きながら改めてそう実感している。恩師に再び成果を見せる日が待ち遠しい。
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