新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、従来は認められていなかった初診患者の電話・オンライン診療が認められ、処方薬の服薬指導もオンラインで受けられるようになった。命も経済も守る「出口戦略」が注目されるなか、オンライン診療を導入する海老名市内の医療機関と調剤薬局を取材した。
4月10日に厚生労働省が公表した時限的な規制緩和で、地域医療の環境が変化しつつある。
医療における安全上の制限はあるものの、患者が希望して医師が可能と判断した範囲内であれば、初診患者でも電話やオンラインで診療が受けられようになった。
さらに、受診後に患者が希望した薬局に医療機関が処方箋をファックスすれば、薬局からの処方箋薬の郵送や、服薬指導も電話でできるよう規制が緩和されたため、初診・再診を問わず、自宅にいながらの受診と薬の受け取りができる。
電話とアプリ
海老名市中央のビルに入る海老名ファミリー皮膚科クリニック(工藤洋平理事長)とアップル歯科クリニック(田村俊明院長)、海老名こじろう耳鼻咽喉科(井戸光次朗院長)は、近接するガーデン薬局(小林弘忠社長)などと連携して、電話とオンラインによる診療と処方、薬の宅配で感染機会を減らす取り組みを進めている。
今年2月に開業した海老名こじろう耳鼻咽喉科の井戸院長は「受診控えによる健康不安の解消とスタッフの安全確保に有効だと考えオンライン診療を導入した。現段階ではカゼや花粉症、耳鳴りやめまいなどへの活用を想定している。オンライン診療の相談には電話で応じている」と話し、休診日の木曜日をオンライン診療日に振り替えた。
市内で6店舗の薬局を運営する(株)メディカルガーデン(海老名市国分北)の吉田匡志取締役は「電話やオンラインを活用した受診と処方、服薬指導に薬の配送や配達を加えれば感染リスクを懸念する患者様の心配を大きく軽減できる。今後も継続して全国の医療機関におけるオンラインの処方に対応していきたい」と話す。
同社では「東口店Annex」をオンライン処方箋のファックス窓口として、市内に限り無料配送に対応している。
終息後を見据え
取材したクリニックの医師は「受診控えにより不安を抱えている人は少なくない」と指摘する。
こうした「受診控え」の長期化が懸念されるなか、電話やオンラインによる診療や薬の処方は、慢性疾患や障害、高齢者世帯、子育てなどで外出が困難な人の日常生活にも手を差し伸べることができそうだ。
コロナ禍をきっかけとした持続可能な地域医療の在り方として、オンライン診療の環境整備を後押しする行政の施策にも期待したい。
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